外科的に脳転移を診断しアレクチニブが著効したALK陽性肺癌の1例

背景.ALK陽性肺癌に対する一次治療にはクリゾチニブが推奨されており,長期有効例もあるが,無効となり腫瘍の増大を認める症例が多く存在する.症例.71歳,女性.2012年に肺腺癌(cT2aN3M1b,stage IV,ALK融合遺伝子陽性)と診断した.化学療法継続中に頭部造影MRIで造影効果のない嚢胞性病変を複数個認め,経過観察していた.2013年5月に化学療法が無効となりクリゾチニブ内服に治療を変更し,原発巣の縮小を認めた.内服開始から9か月後,原発巣は縮小したままであったが脳病変が増大したことから確定診断のため開頭生検術を実施し,肺腺癌の脳転移と診断した.全脳照射後,骨転移の増悪を認め201...

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Veröffentlicht in:肺癌 2017/02/20, Vol.57(1), pp.23-28
Hauptverfasser: 御手洗, 裕紀, 津端, 由佳里, 中尾, 美香, 沖本, 民生, 濱口, 俊一, 礒部, 威
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景.ALK陽性肺癌に対する一次治療にはクリゾチニブが推奨されており,長期有効例もあるが,無効となり腫瘍の増大を認める症例が多く存在する.症例.71歳,女性.2012年に肺腺癌(cT2aN3M1b,stage IV,ALK融合遺伝子陽性)と診断した.化学療法継続中に頭部造影MRIで造影効果のない嚢胞性病変を複数個認め,経過観察していた.2013年5月に化学療法が無効となりクリゾチニブ内服に治療を変更し,原発巣の縮小を認めた.内服開始から9か月後,原発巣は縮小したままであったが脳病変が増大したことから確定診断のため開頭生検術を実施し,肺腺癌の脳転移と診断した.全脳照射後,骨転移の増悪を認め2014年9月にアレクチニブの内服を開始した.投与開始1か月後の頭部造影MRIで脳転移巣の著明な縮小を認め,内服開始19か月の時点で腫瘍縮小効果は継続している.結論.本症例ではクリゾチニブが無効であった脳転移に対してアレクチニブが有効であった.著効を得た一因として,両薬剤の中枢神経系への移行性の程度の差異があると考えられた.また,粘液産生性腫瘍の脳転移巣は本症例のように非典型的な画像所見を呈する場合があり,十分な観察と組織学的な確定診断が重要である.
ISSN:0386-9628
1348-9992
DOI:10.2482/haigan.57.23