小腸切除組織で多形癌が疑われた肺癌小腸多発転移の1例

背景.肺多形癌は紡錘形細胞または巨細胞からなる肉腫様成分を含む稀な低分化な癌で,診断に難渋することが多く,その予後は不良である.症例.73歳男性.発熱を主訴に近医を受診し,左上葉の腫瘤と腹部腫瘤を指摘され当院に紹介された.左上葉腫瘤に対して経気管支的肺生検を行い,癌腫が証明されたが,組織型の確定は困難であった.さらに腹部腫瘤は小腸内視鏡生検にて低分化癌と診断され,免疫染色パターンから肺原発が疑われた.腸閉塞や穿孔を来す危険性が高いと判断し,小腸切除を行った.手術所見では計3か所に小腸腫瘍を認め,うち1か所は既に横行結腸に穿通し,さらに空腸動脈浸潤,腹壁・膀胱浸潤も伴っていた.腫瘍は,紡錐形細胞...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:肺癌 2015/06/20, Vol.55(3), pp.176-182
Hauptverfasser: 後町, 杏子, 磯部, 和順, 清水, 宏繁, 松田, 聡, 栃木, 直文, 本間, 栄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:背景.肺多形癌は紡錘形細胞または巨細胞からなる肉腫様成分を含む稀な低分化な癌で,診断に難渋することが多く,その予後は不良である.症例.73歳男性.発熱を主訴に近医を受診し,左上葉の腫瘤と腹部腫瘤を指摘され当院に紹介された.左上葉腫瘤に対して経気管支的肺生検を行い,癌腫が証明されたが,組織型の確定は困難であった.さらに腹部腫瘤は小腸内視鏡生検にて低分化癌と診断され,免疫染色パターンから肺原発が疑われた.腸閉塞や穿孔を来す危険性が高いと判断し,小腸切除を行った.手術所見では計3か所に小腸腫瘍を認め,うち1か所は既に横行結腸に穿通し,さらに空腸動脈浸潤,腹壁・膀胱浸潤も伴っていた.腫瘍は,紡錐形細胞,巨細胞を特徴とする肉腫様成分とともに低分化な上皮性腫瘍を混じた多形癌であった.結論.本症例は原発巣の肺生検組織のみでは診断が困難であった.抗生剤不応性の遷延性発熱,炎症反応の上昇を伴った消化管転移を認める症例の鑑別には肺多形癌を考慮すべきで,病状が重篤化する前に積極的に転移病巣の切除を検討すべきである.
ISSN:0386-9628
1348-9992
DOI:10.2482/haigan.55.176