肺扁平上皮癌に対する放射線治療8年後,照射野内に発生した肺小細胞癌の1例

背景.放射線治療後の長期生存例では放射線誘発癌が問題となることがある.症例.67歳,男性.健診で胸部異常陰影を指摘された.精査で右上葉の肺扁平上皮癌(cT2aN2M0,stage IIIA)と診断し,mitomycin+vindesine+cisplatin(MMC+VDS+CDDP)による化学療法2コースと60 Gyの同時性放射線療法を施行した.治療の結果complete response(CR)であり,以後再燃なく経過観察されていた.8年後のCT検査で放射線治療後器質化肺内に,腫瘤の出現を認めた.異時性の原発性肺癌(cT2aN0M0,stage IB)と考え右上葉切除術を施行し,小細胞癌と...

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Veröffentlicht in:肺癌 2015/02/20, Vol.55(1), pp.9-13
Hauptverfasser: 田中, 真, 上野, 剛, 末久, 弘, 澤田, 茂樹, 原田, 大二郎, 山下, 素弘
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景.放射線治療後の長期生存例では放射線誘発癌が問題となることがある.症例.67歳,男性.健診で胸部異常陰影を指摘された.精査で右上葉の肺扁平上皮癌(cT2aN2M0,stage IIIA)と診断し,mitomycin+vindesine+cisplatin(MMC+VDS+CDDP)による化学療法2コースと60 Gyの同時性放射線療法を施行した.治療の結果complete response(CR)であり,以後再燃なく経過観察されていた.8年後のCT検査で放射線治療後器質化肺内に,腫瘤の出現を認めた.異時性の原発性肺癌(cT2aN0M0,stage IB)と考え右上葉切除術を施行し,小細胞癌と大細胞癌が混在した腫瘍(pT4N0M0,stage IIIA)と診断した.本症例は,初回癌と二次癌の組織型が異なること,放射性瘢痕肺内に腫瘍が増生していること,照射から8年経過していることから,放射線誘発癌である可能性が高いと考えられた.術後CDDP+irinotecanによる化学療法を4コース施行し,1年目の現在無再発生存中である.結論.放射線誘発癌は潜伏期間が長く,慎重な長期経過観察が必要であると考えられた.
ISSN:0386-9628
1348-9992
DOI:10.2482/haigan.55.9