後腹膜腔へ進展した肺腺癌の1切除例

背景.肺癌の進展様式は多彩であるが,横隔膜を介して後腹膜腔への浸潤を来すことは極めて稀である.今回我々は横隔膜を介し後腹膜腔への直接浸潤を来した非常に稀な肺癌を経験した.症例.64歳男性,夜汗と5 kgの体重減少を認め近医を受診.右腎上極から肝右葉背側に90 mm大の腫瘍を認めた.諸検査にて後腹膜腫瘍の疑いにて,開腹下に腫瘍摘出術を施行.腫瘍は腹膜に覆われ副腎との境界は明瞭であったが,横隔膜に浸潤していたため横隔膜を合併切除した.さらに胸腔内で腫瘍の一部が肺に浸潤しており右肺下葉部分切除術を施行した.摘出標本の病理組織学的検討により肺腺癌と診断.横隔膜へ浸潤した肺癌が後腹膜腔へ進展し腫瘤を形成...

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Veröffentlicht in:肺癌 2014, Vol.54(2), pp.57-62
Hauptverfasser: 大和田, 有紀, 柳沼, 裕嗣, 長谷川, 剛生, 大杉, 純, 塩, 豊, 鈴木, 弘行
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景.肺癌の進展様式は多彩であるが,横隔膜を介して後腹膜腔への浸潤を来すことは極めて稀である.今回我々は横隔膜を介し後腹膜腔への直接浸潤を来した非常に稀な肺癌を経験した.症例.64歳男性,夜汗と5 kgの体重減少を認め近医を受診.右腎上極から肝右葉背側に90 mm大の腫瘍を認めた.諸検査にて後腹膜腫瘍の疑いにて,開腹下に腫瘍摘出術を施行.腫瘍は腹膜に覆われ副腎との境界は明瞭であったが,横隔膜に浸潤していたため横隔膜を合併切除した.さらに胸腔内で腫瘍の一部が肺に浸潤しており右肺下葉部分切除術を施行した.摘出標本の病理組織学的検討により肺腺癌と診断.横隔膜へ浸潤した肺癌が後腹膜腔へ進展し腫瘤を形成したものと考えられた.術後2カ月のCTで後腹膜腔への局所再発と椎体浸潤を認め,放射線および化学療法を施行したが術後257日に永眠された.結論.本例では術前の画像で肺外腫瘤と考え,肺癌を疑った検査を行わなかったことが反省点として挙げられる.本例のように,肺外進展形式をとり後腹膜腔へ進展する肺癌が稀ながら存在することに留意すべきである.
ISSN:0386-9628
1348-9992
DOI:10.2482/haigan.54.57