術前診断が困難であった急速に増大した縦隔原発脱分化型脂肪肉腫の1例

背景.縦隔発生の脂肪肉腫は非常に稀である.症例.70歳,男性.2012年7月全身倦怠感および微熱を主訴に当院を受診した.胸部単純X線写真で巨大縦隔腫瘤を指摘された.胸部CT検査では前縦隔に13 cm大の巨大腫瘤を認めた.CTガイド下針生検を施行したところ,病理組織学的に非上皮性の紡錘形細胞に富む所見で,肉腫が疑われた.約1カ月と短期間の経過で腫瘍が急速に増大したため,同年9月縦隔腫瘍摘出術を施行した.胸骨上半分の正中切開,およびこれに続く左第4肋間前側方切開にて開胸した.腫瘍は前縦隔に位置し,表面は平滑で線維性被膜に囲まれており,肺や大血管などの他臓器への浸潤は認めなかった.病理組織学的には免...

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Veröffentlicht in:肺癌 2013, Vol.53(6), pp.767-770
Hauptverfasser: 齋藤, 大輔, 小田, 誠, 大和, 太郎, 今井, 哲也, 龍澤, 泰彦, 佐藤, 勝明
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景.縦隔発生の脂肪肉腫は非常に稀である.症例.70歳,男性.2012年7月全身倦怠感および微熱を主訴に当院を受診した.胸部単純X線写真で巨大縦隔腫瘤を指摘された.胸部CT検査では前縦隔に13 cm大の巨大腫瘤を認めた.CTガイド下針生検を施行したところ,病理組織学的に非上皮性の紡錘形細胞に富む所見で,肉腫が疑われた.約1カ月と短期間の経過で腫瘍が急速に増大したため,同年9月縦隔腫瘍摘出術を施行した.胸骨上半分の正中切開,およびこれに続く左第4肋間前側方切開にて開胸した.腫瘍は前縦隔に位置し,表面は平滑で線維性被膜に囲まれており,肺や大血管などの他臓器への浸潤は認めなかった.病理組織学的には免疫染色により脱分化型脂肪肉腫の診断であった.術後6カ月で左胸膜播種を認め,再切除を行った.結論.脱分化型脂肪肉腫は予後不良であり,局所再発だけでなく遠隔転移の可能性も高く,厳重な経過観察が必要と考える.
ISSN:0386-9628
1348-9992
DOI:10.2482/haigan.53.767