ゲフィチニブ投与後にアルカリフォスファターゼフレア現象を呈した原発性肺腺癌の2例

背景.骨転移を有する癌の治療中に血清アルカリフォスファターゼ(ALP)の一過性上昇を認めることがあり,ALPフレア現象と呼ばれる.今回,ゲフィチニブが奏効した骨転移合併肺癌2例において,同現象を認めたので報告する.症例.症例1は64歳女性でEGFR遺伝子変異を有しており,治療10日目にALPは治療前の約2倍へ上昇した.症例2は46歳男性でEGFR遺伝子変異を有しており,治療18日目にALPは治療前の約2倍へ上昇した.2例ともALP分画は2・3が1つのピークを形成し,約90%を占めていたが,他の肝胆道系酵素は上昇せず,骨由来と考えた.2例とも,治療1か月後の骨シンチグラフィーで骨転移巣への集積が...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:肺癌 2013, Vol.53(4), pp.329-335
Hauptverfasser: 亀田, 優美, 黒沼, 幸治, 宮島, さつき, 千葉, 弘文, 山田, 玄, 高橋, 弘毅
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:背景.骨転移を有する癌の治療中に血清アルカリフォスファターゼ(ALP)の一過性上昇を認めることがあり,ALPフレア現象と呼ばれる.今回,ゲフィチニブが奏効した骨転移合併肺癌2例において,同現象を認めたので報告する.症例.症例1は64歳女性でEGFR遺伝子変異を有しており,治療10日目にALPは治療前の約2倍へ上昇した.症例2は46歳男性でEGFR遺伝子変異を有しており,治療18日目にALPは治療前の約2倍へ上昇した.2例ともALP分画は2・3が1つのピークを形成し,約90%を占めていたが,他の肝胆道系酵素は上昇せず,骨由来と考えた.2例とも,治療1か月後の骨シンチグラフィーで骨転移巣への集積が増強し,骨転移の増悪が疑われた.しかし,CTで他病変は縮小し,腫瘍マーカーも低下していたことから,フレア現象と考えて治療を継続した.以後,骨転移巣への集積は軽減,ALPも低下して治療は奏効した.結論.骨転移合併肺癌において,ゲフィチニブ投与中にALPの上昇を認めた場合は,骨転移の増悪,ゲフィチニブの有害事象に加えて,フレア現象を想定し,臨床所見と諸検査所見から総合的に鑑別する必要がある.
ISSN:0386-9628
1348-9992
DOI:10.2482/haigan.53.329