後縦隔に発生した気管食道嚢胞の1例

背景.縦隔の気管食道嚢胞は極めて稀な疾患で,これまで自験例を含めて6例の報告しかみられない.症例.43歳,女性.胸部X線写真で左下肺野に異常陰影を指摘され,当院を受診.胸部CT画像では,下行大動脈に近接した傍胸椎部に,境界明瞭で楕円形の低吸収を呈する腫瘤陰影が認められた.MRIではT1強調画像で比較的均一な高信号,T2強調画像で著明な高信号を示した.後縦隔腫瘍が疑われ,開胸にて腫瘍摘出術が施行された.腫瘍は6×3×3 cmの単房性嚢胞で,食道や気管支との交通はみられなかった.病理組織学的に,嚢胞内にはゼラチン様物質が充満し,嚢胞壁は連続性に気管支嚢胞(気管支上皮,気管支腺,硝子軟骨など)と食道...

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Veröffentlicht in:肺癌 2012, Vol.52(2), pp.215-219
Hauptverfasser: 冨地, 信和, 小野, 貞英, 小野寺, 賢, 石田, 格, 大浦, 裕之, 半田, 政志
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景.縦隔の気管食道嚢胞は極めて稀な疾患で,これまで自験例を含めて6例の報告しかみられない.症例.43歳,女性.胸部X線写真で左下肺野に異常陰影を指摘され,当院を受診.胸部CT画像では,下行大動脈に近接した傍胸椎部に,境界明瞭で楕円形の低吸収を呈する腫瘤陰影が認められた.MRIではT1強調画像で比較的均一な高信号,T2強調画像で著明な高信号を示した.後縦隔腫瘍が疑われ,開胸にて腫瘍摘出術が施行された.腫瘍は6×3×3 cmの単房性嚢胞で,食道や気管支との交通はみられなかった.病理組織学的に,嚢胞内にはゼラチン様物質が充満し,嚢胞壁は連続性に気管支嚢胞(気管支上皮,気管支腺,硝子軟骨など)と食道嚢胞(重層扁平上皮,食道腺,数層の厚い平滑筋など)との両者の組織成分から構成されており,気管食道嚢胞と診断された.結論.胸部異常陰影で発見された極めて稀な気管食道嚢胞の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告した.
ISSN:0386-9628
1348-9992
DOI:10.2482/haigan.52.215