ゲノム異常解析から見た肺腺がんの分類

目的,研究方法.肺がんは未だに予後不良な腫瘍の一つであり,しかもその発生は本邦を含め世界的に増加傾向にある.肺がんは病理組織学的に多彩な組織像を呈することが知られているが,その本態であるゲノム異常については未だ全貌は明らかではない.肺腺がん切除標本における染色体構造異常をゲノム全体に亘って網羅的に解析するために,臨床検体からマイクロダイセクションによりがん細胞のみを選別し,800個のがん関連遺伝子を搭載したアレイを用いたアレイCGH解析を行った.結果.肺腺がん55症例を解析し,高頻度増幅やホモ欠失領域を含め,多数のゲノム異常を検出した.ゲノム異常の組み合わせにより肺腺がんを3つに分類したところ...

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Veröffentlicht in:肺癌 2007, Vol.47(7), pp.905-908
1. Verfasser: 柴田, 龍弘
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的,研究方法.肺がんは未だに予後不良な腫瘍の一つであり,しかもその発生は本邦を含め世界的に増加傾向にある.肺がんは病理組織学的に多彩な組織像を呈することが知られているが,その本態であるゲノム異常については未だ全貌は明らかではない.肺腺がん切除標本における染色体構造異常をゲノム全体に亘って網羅的に解析するために,臨床検体からマイクロダイセクションによりがん細胞のみを選別し,800個のがん関連遺伝子を搭載したアレイを用いたアレイCGH解析を行った.結果.肺腺がん55症例を解析し,高頻度増幅やホモ欠失領域を含め,多数のゲノム異常を検出した.ゲノム異常の組み合わせにより肺腺がんを3つに分類したところ,喫煙歴,性別,EGFR(上皮増殖因子受容体)遺伝子異常の頻度と相関した.またEGFR遺伝子異常の有無と相関するようなゲノム異常を同定できた.結論.肺腺がんには,性別や喫煙歴と相関するような複数の分子発がん過程が並列して存在していることが示唆された.がんのゲノムプロファイリングにより,新しい発がん過程の多様性が明らかになり,新しい予後マーカーや治療標的の同定に有用であると考えられた.
ISSN:0386-9628
1348-9992
DOI:10.2482/haigan.47.905