癌性胸水に対するタルクを用いた胸腔鏡下胸膜癒着術の検討

目的.癌性胸膜炎は癌終末期の病態であるが,癌性胸水を完全に制御できればPSが保たれた癌の終末期状態となり,患者の享受できるメリットは少なくない.対象と方法.対象は9例の癌性胸水患者である.胸膜癒着術の成否は癒着剤(タルク)が万遍なく胸膜に散布されるか否かに依存する.そこで,われわれは胸腔鏡下に完全に癌性胸水を排除した後,任意の肋間から血管留置針を胸腔穿刺した.50 mlの注射器に5~10 gのタルクを入れておき,留置した針から胸腔内に空気とともに散布した.この操作を複数箇所から行うことで胸腔全体にタルクを散布できた.つづいて,ドレナージチューブを肋骨横隔膜洞と肺尖にそれぞれ1本づつ胸腔鏡下に確...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:肺癌 2007, Vol.47(6), pp.701-705
Hauptverfasser: 水野, 幸太郎, 深井, 一郎, 遠藤, 克彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:目的.癌性胸膜炎は癌終末期の病態であるが,癌性胸水を完全に制御できればPSが保たれた癌の終末期状態となり,患者の享受できるメリットは少なくない.対象と方法.対象は9例の癌性胸水患者である.胸膜癒着術の成否は癒着剤(タルク)が万遍なく胸膜に散布されるか否かに依存する.そこで,われわれは胸腔鏡下に完全に癌性胸水を排除した後,任意の肋間から血管留置針を胸腔穿刺した.50 mlの注射器に5~10 gのタルクを入れておき,留置した針から胸腔内に空気とともに散布した.この操作を複数箇所から行うことで胸腔全体にタルクを散布できた.つづいて,ドレナージチューブを肋骨横隔膜洞と肺尖にそれぞれ1本づつ胸腔鏡下に確実に留置し,十分な陰圧をかけた.術後は7日間の持続吸引の後,ドレナージチューブを抜管した.全例で胸水の完全制御に成功している.しかしながら9例中1例は術後50日目に退院することなく死亡した.結論.本法は,分離肺換気麻酔下の胸腔鏡操作を必要とするが,確実に胸水を制御することが可能であった.本法は癌性胸水が確認されたら,なるべく早期に施行するべきであると考える.
ISSN:0386-9628
1348-9992
DOI:10.2482/haigan.47.701