脳梗塞を合併した肺癌患者の周術期管理

背景.脳血管障害の既往を持つ高齢者の肺癌症例では, perfomlance status (以下PS) 不良の理由で手術不適応とされる場合も多いと思われる. しかし, その手術適応基準は未だ明確ではない. 今回, 脳梗塞発症を契機に発見された原発性肺癌の2切除例を経験したので報告する. 症例1.68歳, 男性.平成12年8月脳梗塞を発症し, 右半身麻痺にてリハビリ中であった. PSはIII度で自力で車椅子歩行は可能であった. 左S9の肺癌, 臨床病期IAの診断にて同年9月手術を施行し, 左下葉切除およびND2aを施行した. 術後対側下葉にMRSA肺炎を併発したものの軽快退院した. 症例2.74...

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Veröffentlicht in:肺癌 2003/02/20, Vol.43(1), pp.53-58
Hauptverfasser: 大浦, 裕之, 石木, 幹人, 広瀬, 正秀, 武内, 健一, 平野, 春人, 冨地, 信和
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景.脳血管障害の既往を持つ高齢者の肺癌症例では, perfomlance status (以下PS) 不良の理由で手術不適応とされる場合も多いと思われる. しかし, その手術適応基準は未だ明確ではない. 今回, 脳梗塞発症を契機に発見された原発性肺癌の2切除例を経験したので報告する. 症例1.68歳, 男性.平成12年8月脳梗塞を発症し, 右半身麻痺にてリハビリ中であった. PSはIII度で自力で車椅子歩行は可能であった. 左S9の肺癌, 臨床病期IAの診断にて同年9月手術を施行し, 左下葉切除およびND2aを施行した. 術後対側下葉にMRSA肺炎を併発したものの軽快退院した. 症例2.74歳, 男性.平成12年10月脳梗塞を発症し, 左半身麻痺にてリハビリ中であった. PsはIV度で全介助を要する臥床状態であった.右S6の肺扁平上皮癌, 臨床病期IAの診断で, 平成13年4月胸腔鏡下右下葉切除およびND1を施行した. 第6病日気管支断端瘻を発症し再手術を施行, その後断端瘻の再発を認めたが保存的に治癒し得た. 結論.脳血管障害によるPS不良高齢者肺癌症例では, 術後呼吸器合併症が高頻度に起こり得る。しかし早期症例であれば, 周術期管理に慎重を期した上で手術を考慮すべきと思われた.
ISSN:0386-9628
1348-9992
DOI:10.2482/haigan.43.53