肺悪性線維性組織球腫の1例

背景. 肺原発悪性線維性組織球腫 (malignant fibrous histiocytoma, MFH) は稀な腫瘍である. 今回我々は肺MFHの1手術切除例を経験したので報告する. 症例. 76歳男性. 半年前より咳嗽が出現し, 胸部レントゲン検査で左肺に腫瘍影を指摘された. 胸部CT検査では左肺S6に6cm大の腫瘍を認めた. 気管支擦過細胞診で扁平上皮癌と診断された. 以上よりリンパ節郭清を伴う左肺下葉切除術を施行した. 腫瘍は10×6.5×5.5cm大で, 病理組織学的にはMFHと診断された. リンパ節転移はなかった. 補助化学療法を予定したが, 術後熱発が遷延し, また高齢であった...

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Veröffentlicht in:肺癌 2002/10/20, Vol.42(6), pp.631-635
Hauptverfasser: 遠藤, 俊治, 中村, 憲二, 阪口, 全宏, 平本, 雄彦, 中野, 喜久男, 有広, 光司
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景. 肺原発悪性線維性組織球腫 (malignant fibrous histiocytoma, MFH) は稀な腫瘍である. 今回我々は肺MFHの1手術切除例を経験したので報告する. 症例. 76歳男性. 半年前より咳嗽が出現し, 胸部レントゲン検査で左肺に腫瘍影を指摘された. 胸部CT検査では左肺S6に6cm大の腫瘍を認めた. 気管支擦過細胞診で扁平上皮癌と診断された. 以上よりリンパ節郭清を伴う左肺下葉切除術を施行した. 腫瘍は10×6.5×5.5cm大で, 病理組織学的にはMFHと診断された. リンパ節転移はなかった. 補助化学療法を予定したが, 術後熱発が遷延し, また高齢であったことから, しばらく外来で経過観察することとした. 術6ヶ月後に右副腎転移を指摘され, 右副腎摘出術を施行した. その後1年を経た現在まで再発の兆しはなく健在である. 結論. 肺MFHは著者らが検索した限り本邦で54例が報告されているに過ぎないが, 最近は報告例が増えつつある. 予後は不良で, 化学療法や放射線療法の有効性については確立した見解をみず, 絶対的治癒切除が第一選択となる.
ISSN:0386-9628
1348-9992
DOI:10.2482/haigan.42.631