冷却イオン分光で探る生体分子の相互作用
「1. 冷却イオン分光とは?」 エレクトロスプレーイオン化質量分析法が生化学の研究に利用される様になって久しい. 著者は, 質量分析とレーザー分光を組み合わせた方法を用いて, 基礎的な物理化学の研究を行ってきたが, それを横目に, 何とか生体分子に研究対象を拡げられないかと苦慮していた. 真空中での分光測定は, 超音速ジェット法により分子を極低温に冷却できることが特長であり, 生体分子の様な柔らかな分子の構造揺らぎを凍結して分光測定できるということは非常に大きな利点である. しかし, エレクトロスプレーは超音速ジェット法と組み合わせることが困難であった. 2006年にエレクトロスプレーと冷却イ...
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Veröffentlicht in: | 生物物理 2021, Vol.61(6), pp.382-384 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「1. 冷却イオン分光とは?」 エレクトロスプレーイオン化質量分析法が生化学の研究に利用される様になって久しい. 著者は, 質量分析とレーザー分光を組み合わせた方法を用いて, 基礎的な物理化学の研究を行ってきたが, それを横目に, 何とか生体分子に研究対象を拡げられないかと苦慮していた. 真空中での分光測定は, 超音速ジェット法により分子を極低温に冷却できることが特長であり, 生体分子の様な柔らかな分子の構造揺らぎを凍結して分光測定できるということは非常に大きな利点である. しかし, エレクトロスプレーは超音速ジェット法と組み合わせることが困難であった. 2006年にエレクトロスプレーと冷却イオントラップを組み合わせることで, 真空中の生体分子イオンを極低温に冷却する技術が開発された. これにより, 極低温気相レーザー分光が生体分子の研究に利用できる様になった. この方法を本稿では冷却イオン分光と呼ぶことにする. |
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ISSN: | 0582-4052 1347-4219 |
DOI: | 10.2142/biophys.61.382 |