感覚情報の微分・積分による線虫の意思決定

「1. はじめに」動物は感覚情報を処理し, 適切な行動を選択する. 環境からの感覚刺激はわずかであったり, また動的・連続的に変化しうるが, そのような場合でも動物は感覚情報を適切に処理し, 複数の選択肢の中から一つの行動を選択する. この時, 感覚情報は脳によってどのように処理され, 適切な行動を引き起こしているのだろうか. 環境中の刺激から周囲の状況を理解するには, 刺激の「特徴」を抽出する必要がある. 例えば, 刺激が受容されると, まず感覚系の段階で時間的・空間的に微分され, 行動を決定する上で重要な刺激の「変化」が抽出される例がよく知られる. しかし, 微分にはノイズを増幅する性質も...

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Veröffentlicht in:生物物理 2018, Vol.58(2), pp.083-085
Hauptverfasser: 谷本, 悠生, 木村, 幸太郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」動物は感覚情報を処理し, 適切な行動を選択する. 環境からの感覚刺激はわずかであったり, また動的・連続的に変化しうるが, そのような場合でも動物は感覚情報を適切に処理し, 複数の選択肢の中から一つの行動を選択する. この時, 感覚情報は脳によってどのように処理され, 適切な行動を引き起こしているのだろうか. 環境中の刺激から周囲の状況を理解するには, 刺激の「特徴」を抽出する必要がある. 例えば, 刺激が受容されると, まず感覚系の段階で時間的・空間的に微分され, 行動を決定する上で重要な刺激の「変化」が抽出される例がよく知られる. しかし, 微分にはノイズを増幅する性質もあるので, 感覚入力が不明確な場合には微分だけでは不十分であると考えられる. 哺乳類における意思決定の研究から, 動物は刺激が不明確な場合には感覚情報を時間積分することで, より信頼のおける長期的な刺激変化を抽出することが知られている.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.58.083