T細胞活性化の時空間的制御機構

「1. はじめに」高次機能系の1つである免疫系は, 神経系や内分泌系と同様, 多様な細胞群で構成され, しかも病原体の有無や周囲のサイトカイン環境によって, 細胞のサブセットとそれらが構築する細胞間ネットワークが刻々と変化する. これら免疫細胞がおのおの特有のシグナル伝達系や転写制御系を持っており, 免疫系の司令塔であるT 細胞の活性化ですら, どのように制御されているかを明確に答えるのは難しい. T細胞は抗原認識受容体=T細胞受容体(TCR)を介して, さまざまな応答を起こす. たった1種類の受容体からなぜこのような多様性が生まれるのか. この理由として, TCR下流のシグナルが, Ras-...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:生物物理 2018, Vol.58(1), pp.005-011
Hauptverfasser: 横須賀, 忠, 若松, 英, 矢那瀬, 紀子, 秦, 喜久美, 町山, 裕亮
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」高次機能系の1つである免疫系は, 神経系や内分泌系と同様, 多様な細胞群で構成され, しかも病原体の有無や周囲のサイトカイン環境によって, 細胞のサブセットとそれらが構築する細胞間ネットワークが刻々と変化する. これら免疫細胞がおのおの特有のシグナル伝達系や転写制御系を持っており, 免疫系の司令塔であるT 細胞の活性化ですら, どのように制御されているかを明確に答えるのは難しい. T細胞は抗原認識受容体=T細胞受容体(TCR)を介して, さまざまな応答を起こす. たった1種類の受容体からなぜこのような多様性が生まれるのか. この理由として, TCR下流のシグナルが, Ras-MAPK経路, カルシウム-カルモジュリン-カルシニューリン-NFAT経路, NF-κB経路, アクチン重合, フォスファチジルイノシトール3リン酸-Akt-mTOR経路などの複数のシグナル伝達経路へと分岐し, さらに補助刺激受容体やサイトカイン受容体からのシグナルが修飾することがあげられる.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.58.005