細胞システムの動態と分岐理論

「1. はじめに」生物は複雑系である. 多数の構成要素が相互作用するとともに, それぞれの構成要素は時間変化するダイナミックな活動を示す. こうした複雑系を理解する一つの方法は, システムとしてとらえることである. システム科学では, 対象固有の性質に対する関心はさておき, 対象を数式などの表現方法でモデル化し, システム的性質を明らかにする. その結果, 対象の理解・分析が進み, 外部からの制御や最適化が可能となる. システム生物学は, まさにこのシステム科学の考え方を生物に適用して, 生命現象を理解しようとする学問分野である. システム生物学では, 細胞をはじめとする生物学的対象の数理モデ...

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Veröffentlicht in:生物物理 2016, Vol.56(6), pp.340-344
1. Verfasser: 田中, 剛平
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」生物は複雑系である. 多数の構成要素が相互作用するとともに, それぞれの構成要素は時間変化するダイナミックな活動を示す. こうした複雑系を理解する一つの方法は, システムとしてとらえることである. システム科学では, 対象固有の性質に対する関心はさておき, 対象を数式などの表現方法でモデル化し, システム的性質を明らかにする. その結果, 対象の理解・分析が進み, 外部からの制御や最適化が可能となる. システム生物学は, まさにこのシステム科学の考え方を生物に適用して, 生命現象を理解しようとする学問分野である. システム生物学では, 細胞をはじめとする生物学的対象の数理モデルを構築し, 実験で観察される現象を再現するだけなく, そのシステムダイナミクスを生み出す本質的なメカニズムを明らかにすることが求められる. ここで, 数理モデルの条件(パラメータ)を変えることにより, モデルの振る舞いが劇的に変化するような現象に興味があるとしよう.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.56.340