海馬における内因性持続性発火とその役割

「1. はじめに」一般に神経細胞はシナプス入力に応じて発火するものと考えれられている. すなわち, 他の細胞からのシナプス入力が発火の閾値以上である場合に発火し, 入力が終わると発火も終わる. 工学分野で広く応用されている人工ニューラルネットにおける基本素子(ノード)もこの特性を基本としている. しかし, 特定の条件下では神経細胞はシナプス入力が終了してからもなお発火し続ける. これを持続性発火という. 近年の研究で, 持続性発火が細胞内のイオンチャネル機構によって維持できることがわかってきた. これを内因性持続性発火といい, 本総説ではその機構とその役割についての研究を紹介する. 「2. 持...

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Veröffentlicht in:生物物理 2016, Vol.56(5), pp.262-265
1. Verfasser: 吉田, 基治
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」一般に神経細胞はシナプス入力に応じて発火するものと考えれられている. すなわち, 他の細胞からのシナプス入力が発火の閾値以上である場合に発火し, 入力が終わると発火も終わる. 工学分野で広く応用されている人工ニューラルネットにおける基本素子(ノード)もこの特性を基本としている. しかし, 特定の条件下では神経細胞はシナプス入力が終了してからもなお発火し続ける. これを持続性発火という. 近年の研究で, 持続性発火が細胞内のイオンチャネル機構によって維持できることがわかってきた. これを内因性持続性発火といい, 本総説ではその機構とその役割についての研究を紹介する. 「2. 持続性発火とその機構」動物を用いた短期(数十秒以内)記憶実験では, 情報の保持が必要な期間に持続性発火が観測される. 中でも, 前頭前皮質の持続性発火は比較的古くから知られており, 保持する情報に依存して異なる神経細胞が持続性発火を示すことから, 持続性発火が情報保持を担っていると考えられている.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.56.262