植物の大きさはミオシンモーターのスピードで決まる
「1. はじめに」 自ら移動することができる動物に対し, 植物は一度根を下ろした場所から生涯動くことができない. 根ざした環境下で光合成を行い生長する植物にとって, 周辺環境を検知し, それに見合った大きさや形に成長する仕組みは不可欠である. そのため植物は動物にはない様々な環境応答機構を発達させてきた. 一見動かない植物の細胞を顕微鏡でのぞくと, "原形質流動"と呼ばれる動物に比べて非常に速い細胞内輸送が行われている. 原形質流動は, 藻類から高等植物に至るあらゆる植物の細胞で見られる現象であることから, 植物にとって不可欠かつ基本的なシステムだと考えられる. 原形質流動...
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Veröffentlicht in: | 生物物理 2014, Vol.54(5), pp.259-261 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「1. はじめに」 自ら移動することができる動物に対し, 植物は一度根を下ろした場所から生涯動くことができない. 根ざした環境下で光合成を行い生長する植物にとって, 周辺環境を検知し, それに見合った大きさや形に成長する仕組みは不可欠である. そのため植物は動物にはない様々な環境応答機構を発達させてきた. 一見動かない植物の細胞を顕微鏡でのぞくと, "原形質流動"と呼ばれる動物に比べて非常に速い細胞内輸送が行われている. 原形質流動は, 藻類から高等植物に至るあらゆる植物の細胞で見られる現象であることから, 植物にとって不可欠かつ基本的なシステムだと考えられる. 原形質流動は1774年に, イタリアの顕微鏡学者Bonaventura Cortiにより初めて見出された. 20世紀に入って, 原形質流動は原形質のゾル=ゲル界面での能動的な滑りによって発生すると考える"滑り説"が神谷宣郎らによって提唱された. その後, 原形質流動は細胞小器官に結合した植物特異的なミオシン(クラス11)がアクチン細胞骨格上を方向性を持って運動することにより発生することが明らかとなった. |
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ISSN: | 0582-4052 1347-4219 |
DOI: | 10.2142/biophys.54.259 |