糖鎖認識を介した糖タンパク質の細胞内運命の決定機構

「1. はじめに」 真核生物を構成するタンパク質の半数以上は糖鎖による修飾を受けた糖タンパク質として存在していることが予想されている1). 糖鎖は, タンパク質の溶解性や安定性を規定しているばかりでなく, タンパク質の分子の機能部位の構築にあずかり, さらには他の分子との相互作用を通じて細胞間のコミュニケーションやウィルス感染などの生体認識を司っている. 糖鎖と結合するタンパク質(糖鎖の生合成や分解にあずかる酵素や抗体は除く)はレクチンと総称される. 糖鎖による生体制御は多くの場合, レクチンによる糖鎖の認識を介して実現されている. 近年, 細胞内におけるタンパク質のフォールディング・輸送・分...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:生物物理 2009, Vol.49(2), pp.062-069
Hauptverfasser: 神谷, 由紀子, 加藤, 晃一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」 真核生物を構成するタンパク質の半数以上は糖鎖による修飾を受けた糖タンパク質として存在していることが予想されている1). 糖鎖は, タンパク質の溶解性や安定性を規定しているばかりでなく, タンパク質の分子の機能部位の構築にあずかり, さらには他の分子との相互作用を通じて細胞間のコミュニケーションやウィルス感染などの生体認識を司っている. 糖鎖と結合するタンパク質(糖鎖の生合成や分解にあずかる酵素や抗体は除く)はレクチンと総称される. 糖鎖による生体制御は多くの場合, レクチンによる糖鎖の認識を介して実現されている. 近年, 細胞内におけるタンパク質のフォールディング・輸送・分解などのプロセスに, 糖鎖が重要な役割を演じていることが明らかとなってきた2),3). こうした糖タンパク質の運命の決定は, 細胞内に存在するさまざまなレクチンの糖鎖認識を通じて規定されている. これらの細胞内レクチンは小胞体内腔の分子シャペロン・小胞輸送における積荷受容体・ユビキチンリガーゼの基質認識サブユニットなどの役割を演じており, 細胞内におけるタンパク質社会の秩序維持において主要な貢献を果たしていると考えられるにいたっている.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.49.062