軸糸ダイニンの構造と仕組み

「1. はじめに」 筆者(吉川)は教養の生物学の講義で, 馬渕一誠先生(現・学習院大学教授)が鞭毛の中の9+2という構造を黒板に描いたときに「生物の中にも, こんなに整然とした綺麗な構造ができるのか」と驚かされたことを今でもよく覚えている. なぜ, 外側の微小管の数は8本でも10本でもなく9本なのか? 微小管と微小管の間にあるダイニンはどうやって動くのか? その講義から20年以上経つが, 上に述べたものを含め鞭毛/繊毛に関しては今でも解決していない疑問が多い. 本稿では軸糸ダイニンに関する研究の最近の進歩について電子顕微鏡による構造解析を中心に解説する. なお, 細胞質ダイニンの構造とモーター...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:生物物理 2008, Vol.48(6), pp.325-329
Hauptverfasser: 吉川, 雅英, 八木, 俊樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」 筆者(吉川)は教養の生物学の講義で, 馬渕一誠先生(現・学習院大学教授)が鞭毛の中の9+2という構造を黒板に描いたときに「生物の中にも, こんなに整然とした綺麗な構造ができるのか」と驚かされたことを今でもよく覚えている. なぜ, 外側の微小管の数は8本でも10本でもなく9本なのか? 微小管と微小管の間にあるダイニンはどうやって動くのか? その講義から20年以上経つが, 上に述べたものを含め鞭毛/繊毛に関しては今でも解決していない疑問が多い. 本稿では軸糸ダイニンに関する研究の最近の進歩について電子顕微鏡による構造解析を中心に解説する. なお, 細胞質ダイニンの構造とモーター活性については文献1が詳しいのでそちらも参照されたい. 2. 鞭毛/繊毛のはたらきと構造 鞭毛/繊毛は, 精子やゾウリムシなどの運動器官として古くから知られている. さらに, それらがさまざまな生命現象にかかわっていることが最近明らかにされてきた.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.48.325