細胞機能の実空間モデリング

「1. 人工細胞モデル概観」 人工細胞モデル研究は, 「生命とは何か?」「どのような物質系から, どのような環境のもと生命現象が生じうるか?」という問いに実験的に答える壮大な目的をもつといえよう. 近年, 遺伝子などの生物の構成要素を網羅的に抽出・解析し, データベース化によって分子情報の伝達経路を追跡解析するバイオインフォマティクスやシステムズバイオロジーが大きく発展している. これらは細胞の要素やその関連性を網羅的に記述しつつある. 一方で, 生命現象が物質を基盤とする以上, その本質理解のためには記述のみならず物質からシステムを組み上げてゆく試みが重要であろう. 本稿では, 試験管内など...

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Veröffentlicht in:生物物理 2008, Vol.48(3), pp.174-179
Hauptverfasser: 野村, M.慎一郎, 山田, 彩子, 吉川, 研一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. 人工細胞モデル概観」 人工細胞モデル研究は, 「生命とは何か?」「どのような物質系から, どのような環境のもと生命現象が生じうるか?」という問いに実験的に答える壮大な目的をもつといえよう. 近年, 遺伝子などの生物の構成要素を網羅的に抽出・解析し, データベース化によって分子情報の伝達経路を追跡解析するバイオインフォマティクスやシステムズバイオロジーが大きく発展している. これらは細胞の要素やその関連性を網羅的に記述しつつある. 一方で, 生命現象が物質を基盤とする以上, その本質理解のためには記述のみならず物質からシステムを組み上げてゆく試みが重要であろう. 本稿では, 試験管内などバルク溶液中とは異なる環境を提供する物質的基盤としての人工細胞モデルについて, 生命現象を再現する試みについて述べる. 近年の動向として, 脂質分子の自己集合体(リポソーム, ベシクル)を人工細胞モデルとして機能化する研究が多く報告されている(図1, 上)1).
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.48.174