線虫C. elegansの温度走性をもちいた感覚受容と学習行動の遺伝学的研究
「はじめに」 動物は, 脳神経系を最大限に活用することで, 環境情報を感知し, それらの情報を処理し, 思考や行動に反映させる. このような高次神経機能の分子神経回路メカニズムの解明は, 現代生物学の最重要課題の1つである. しかし, 高等動物では, 神経細胞の数が10-1000億個と膨大であり, 神経接続の組み合わせは天文学的な数値となるため, 脳神経活動の網羅的理解には多大な時間を要する. そこで, まず, 簡単な神経回路をもつ動物の脳神経メカニズムを網羅的に理解し, その中から, 高等動物まで保存された神経機能の基本メカニズムを明らかにするというストラテジーにメリットがある. われわれは...
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Veröffentlicht in: | 生物物理 2008, Vol.48(3), pp.167-173 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「はじめに」 動物は, 脳神経系を最大限に活用することで, 環境情報を感知し, それらの情報を処理し, 思考や行動に反映させる. このような高次神経機能の分子神経回路メカニズムの解明は, 現代生物学の最重要課題の1つである. しかし, 高等動物では, 神経細胞の数が10-1000億個と膨大であり, 神経接続の組み合わせは天文学的な数値となるため, 脳神経活動の網羅的理解には多大な時間を要する. そこで, まず, 簡単な神経回路をもつ動物の脳神経メカニズムを網羅的に理解し, その中から, 高等動物まで保存された神経機能の基本メカニズムを明らかにするというストラテジーにメリットがある. われわれは, わずか302個のニューロンから構成される線虫C. elegans(Caenorhabditis elegans)の温度に対する応答行動(温度走性)に着目し, 分子-神経細胞-神経回路-個体行動の各階層レベルを統合した神経機能の解析から, 高次神経機能のエッセンスの理解を目指している. |
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ISSN: | 0582-4052 1347-4219 |
DOI: | 10.2142/biophys.48.167 |