λ Croフォールドのデノボデザイン

「1. はじめに」Anfinsenらによるリボヌクレアーゼのフォールディング実験によると, その立体構造と機能はアミノ酸配列によって一意的に規定されている(Anfinsenの仮説)1). すなわち, 天然の球状タンパク質に関しては, アミノ酸配列さえ指定すれば, 適当な条件下, 溶液中で化学平衡の法則にしたがい, 自由エネルギー最小の単一な立体構造に折りたたまれる. この記述は現在, 天然タンパク質の一般的な性質として認められているが, その内容は, ポリペプチド一般の化学的性質に起因するのではなく, 進化の過程で選ばれてきたアミノ酸配列をもつ天然タンパク質にのみ適用できる生物学的な理由に基づ...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:生物物理 2007, Vol.47(3), pp.185-189
Hauptverfasser: 磯貝, 泰弘, 太田, 元規
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」Anfinsenらによるリボヌクレアーゼのフォールディング実験によると, その立体構造と機能はアミノ酸配列によって一意的に規定されている(Anfinsenの仮説)1). すなわち, 天然の球状タンパク質に関しては, アミノ酸配列さえ指定すれば, 適当な条件下, 溶液中で化学平衡の法則にしたがい, 自由エネルギー最小の単一な立体構造に折りたたまれる. この記述は現在, 天然タンパク質の一般的な性質として認められているが, その内容は, ポリペプチド一般の化学的性質に起因するのではなく, 進化の過程で選ばれてきたアミノ酸配列をもつ天然タンパク質にのみ適用できる生物学的な理由に基づくものである. つまり, 人間が適当にアミノ酸を並べて作った配列をもつポリペプチドの多くは, 水溶液中で不溶であるか, 溶けても複数のコンフォーメーションを取り, 特定の構造には折りたたまれない. 言い換えると, 天然タンパク質のアミノ酸配列は, Anfinsenの仮説が成り立つようにすでに選ばれているのである.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.47.185