ナノ領域の力学的摂動分光

「1. はじめに」原子間力顕微鏡(atomic forcemicroscope, AFM)1)は, 探針と試料との間に働く斥力や引力などの力を検出し, その検出された力が一定となるように走査することで, 試料表面の物性を含んだ形状を画像化する顕微鏡である. AFMは, 試料が導電性である必要がないこと, 真空, 気相, 液相など動作環境を問わないことから, 特に生体測定に非常に有用である. 生体試料は, 一般的に絶縁体であるからである. AFMを用いてさまざまな生体試料が画像化されている2). また, AFMのフォースカーブ測定(探針を試料に対して垂直に動作させ, その変位に対して探針に加えら...

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Veröffentlicht in:生物物理 2007, Vol.47(1), pp.044-048
Hauptverfasser: 児玉, 高志, 荒川, 秀雄, 猪飼, 篤, 大谷, 弘之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」原子間力顕微鏡(atomic forcemicroscope, AFM)1)は, 探針と試料との間に働く斥力や引力などの力を検出し, その検出された力が一定となるように走査することで, 試料表面の物性を含んだ形状を画像化する顕微鏡である. AFMは, 試料が導電性である必要がないこと, 真空, 気相, 液相など動作環境を問わないことから, 特に生体測定に非常に有用である. 生体試料は, 一般的に絶縁体であるからである. AFMを用いてさまざまな生体試料が画像化されている2). また, AFMのフォースカーブ測定(探針を試料に対して垂直に動作させ, その変位に対して探針に加えられた力を測定する手法)は, タンパク質などの生体分子間相互作用の測定3), タンパク質単一分子のフォールディング, アンフォールディングなどの分子操作4),5), 細胞などの生体組織からの生体分子の直接抽出6),7)などの応用例が報告されており, 特に, タンパク質のアンフォールディングや生体からの分子抽出などの分子操作技術は, 単一分子レベルで行うことが可能な唯一の手段として重要である.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.47.044