ミトコンドリア中のシトクロム酸化酵素の in situ ラマン散乱

「1. はじめに」ミトコンドリア内膜には呼吸鎖電子伝達系があり, これは呼吸基質からの脱水素反応と酸素活性化反応を橋渡しする. そこに含まれる複合体I, シトクロムbc1, シトクロムc酸化酵素は電子伝達駆動性プロトンポンプであり, NADHの酸化に伴って水素イオンを膜の内側(マトリクス)から外側(膜間空間)へ汲みだす. こうしてできた電気化学ポテンシャルによりATPが合成される. 一方, 伝達された電子は最終的に分子状酸素に渡される. シトクロム系のもつヘムは近紫外-可視光領域に強い吸収帯をもつ. このことが, 共鳴ラマン分光法によりヘムの振動スペクトルが選択的に得られるもとになる. 実際,...

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Veröffentlicht in:生物物理 2005, Vol.45(5), pp.272-275
Hauptverfasser: 小倉, 尚志, 高橋, 俊成, 黒岩, 繁樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」ミトコンドリア内膜には呼吸鎖電子伝達系があり, これは呼吸基質からの脱水素反応と酸素活性化反応を橋渡しする. そこに含まれる複合体I, シトクロムbc1, シトクロムc酸化酵素は電子伝達駆動性プロトンポンプであり, NADHの酸化に伴って水素イオンを膜の内側(マトリクス)から外側(膜間空間)へ汲みだす. こうしてできた電気化学ポテンシャルによりATPが合成される. 一方, 伝達された電子は最終的に分子状酸素に渡される. シトクロム系のもつヘムは近紫外-可視光領域に強い吸収帯をもつ. このことが, 共鳴ラマン分光法によりヘムの振動スペクトルが選択的に得られるもとになる. 実際, ミトコンドリアや好熱菌細胞膜がそのままの状態で, その中に含まれるシトクロムのヘムの振動スペクトルが得られることが報告されている1),2). 本稿では, ミトコンドリア中に含まれるシトクロムc酸化酵素(CcO)による酸素活性化反応を追跡する技術の概略と展望を述べる.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.45.272