タンパク質結晶化への新たなアプローチ:磁場および高圧力の利用

「1. はじめに」タンパク質の優れた機能は, その複雑な立体構造と密接に関連しており, 生命科学を分子論的に解明するためには, 機能と構造の相関の理解が必須である. 現在, 分子量が数万以上のタンパク質の立体構造を解析するためにはX線(中性子線)構造解析法が唯一の方法であるが, そのためにはまずタンパク質の良質な(そして中性子線回折の場合には大きな)単結晶を得る必要がある. 近年の大量発現系の確立や, 放射光光源の利用, 検出器やコンピュータの発展に伴い, Protein Data Bankに構造が登録されているタンパク質分子の数は指数関数的に増加しているが, 良質のタンパク質結晶の育成は依然...

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Veröffentlicht in:生物物理 2004, Vol.44(2), pp.58-63
Hauptverfasser: 佐崎, 元, 柳谷, 伸一郎, 鈴木, 良尚, 宮下, 哲, 佐藤, 孝雄, 松浦, 良樹, 松井, 拓郎, 中嶋, 一雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」タンパク質の優れた機能は, その複雑な立体構造と密接に関連しており, 生命科学を分子論的に解明するためには, 機能と構造の相関の理解が必須である. 現在, 分子量が数万以上のタンパク質の立体構造を解析するためにはX線(中性子線)構造解析法が唯一の方法であるが, そのためにはまずタンパク質の良質な(そして中性子線回折の場合には大きな)単結晶を得る必要がある. 近年の大量発現系の確立や, 放射光光源の利用, 検出器やコンピュータの発展に伴い, Protein Data Bankに構造が登録されているタンパク質分子の数は指数関数的に増加しているが, 良質のタンパク質結晶の育成は依然困難で, この過程がボトルネックとなっている. 良質な単結晶を育成するための一般的な手法の開発が急務とされている. このような困難を克服するための手段として, 近年, 磁場1)-6), 高圧力7),8), 微小重力9),10)などの「外場」の効果が注目されてきた.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.44.58