円順列変異解析によるタンパク質構造形成機構の研究

1. はじめに DNAの塩基配列として暗号化された遺伝情報は, 転写と翻訳の過程により, タンパク質のアミノ酸配列に変換される. タンパク質の高次構造形成(フォールディング)は, アミノ酸配列に変換された1次元的な遺伝情報が, タンパク質としての機能をもった天然の特異的な3次元立体構造に変換されることであり, 遺伝情報発現の最終段階であると見なすことができる. 昨今のゲノム配列決定プロジェクトの急速な進歩により, 膨大な量の塩基配列データの蓄積が進んでいる. しかしながら, 今のところ, そこから得られる1次元的なアミノ酸配列と3次元立体構造との対応関係(フォールディング・コドン?)の解明が完...

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Veröffentlicht in:生物物理 2001, Vol.41(6), pp.278-283
1. Verfasser: 巖倉, 正寛
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:1. はじめに DNAの塩基配列として暗号化された遺伝情報は, 転写と翻訳の過程により, タンパク質のアミノ酸配列に変換される. タンパク質の高次構造形成(フォールディング)は, アミノ酸配列に変換された1次元的な遺伝情報が, タンパク質としての機能をもった天然の特異的な3次元立体構造に変換されることであり, 遺伝情報発現の最終段階であると見なすことができる. 昨今のゲノム配列決定プロジェクトの急速な進歩により, 膨大な量の塩基配列データの蓄積が進んでいる. しかしながら, 今のところ, そこから得られる1次元的なアミノ酸配列と3次元立体構造との対応関係(フォールディング・コドン?)の解明が完結していないこともあり, 配列情報の解析は大きく制限されている. ポストゲノム時代を迎えて, フォールディング機構の解明が最重点課題であると考えられる. さて, お叱りをうけるかもしれないが, Anfinsenのドグマ以来1), 30年以上の時がすぎたにもかかわらず, フォールディング・コドン解明問題(フォールディング問題)は, まだまだ大きな壁を越えられずにいるというのが偽らざる状況であろう.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.41.278