腎膿瘍を合併し, 排尿指導で治癒したHinman-Allen症候群の1例

「要旨」症例は尿路感染症の既往のない6歳女児. 発熱と腹痛を主訴に受診した. 生活歴の問診から, トイレ排尿に失敗した際に父親から叱責された後, 排泄習慣に複数の問題が出現したことが判明した. 入院時の尿培養検査では菌量が少なく結果としては陰性であったが, 問診から尿路感染症を最も疑った. 造影CT検査から急性巣状性細菌性腎炎, 腎膿瘍と診断した. 脊椎MRIに神経学的異常所見がなく, Hinman-Allen症候群が基礎疾患であると考えた. 内服治療などが検討されることもあるが, 本児は排尿指導のみで排泄習慣が改善し, 現在まで尿路感染症の再発なく経過している. 器質的疾患以外を背景として腎...

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Veröffentlicht in:日本小児腎臓病学会雑誌 2023, Vol.36, p.33-40
Hauptverfasser: 坂口真弓, 木村昂一郎, 吉野豪, 萩元慎二, 倉信裕樹, 堂本友恒, 戸川雅美, 田村明子, 宇都宮靖, 圓山由香
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」症例は尿路感染症の既往のない6歳女児. 発熱と腹痛を主訴に受診した. 生活歴の問診から, トイレ排尿に失敗した際に父親から叱責された後, 排泄習慣に複数の問題が出現したことが判明した. 入院時の尿培養検査では菌量が少なく結果としては陰性であったが, 問診から尿路感染症を最も疑った. 造影CT検査から急性巣状性細菌性腎炎, 腎膿瘍と診断した. 脊椎MRIに神経学的異常所見がなく, Hinman-Allen症候群が基礎疾患であると考えた. 内服治療などが検討されることもあるが, 本児は排尿指導のみで排泄習慣が改善し, 現在まで尿路感染症の再発なく経過している. 器質的疾患以外を背景として腎膿瘍を発症することはまれであり, 学童期の初発の尿路感染症では排泄習慣の問診を行う必要がある. また, 排尿指導内容についての詳細な報告は乏しい. 本症候群は排尿指導で尿路感染症の再発なく治癒する可能性があるため, 実際の指導内容とともに報告する.
ISSN:0915-2245