造血幹細胞移植後の短期的および長期的腎予後の検討

造血幹細胞移植(HSCT)による重篤な合併症の一つに腎障害がある.急性腎障害(AKI),慢性腎臓病(CKD)はともに生命予後や生活の質に大きな影響を及ぼす.今回,当院で血液疾患に対して同種造血幹細胞移植を受けた小児患者 72 例における HSCT 後の AKI と CKD の発症率およびリスク因子の特定を目的として,後方視的に検討を行った.AKI の発症率は 59.7% で,うち 2 例(4.7%)が腎代替療法を要した.HSCT 後の AKI のリスク因子は骨髄破壊的前処置(MAC) であった.一方,CKD の累積発症率は 18.2%で,うち 1 例(10%)がstage 3 であった.CKD...

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Veröffentlicht in:日本小児腎臓病学会雑誌 2020, Vol.33(2), pp.115-122
Hauptverfasser: 稲熊, 洋祐, 貝藤, 裕史, 斎藤, 敦郎, 長谷川, 大一郎, 小阪, 嘉之, 田中, 亮二郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:造血幹細胞移植(HSCT)による重篤な合併症の一つに腎障害がある.急性腎障害(AKI),慢性腎臓病(CKD)はともに生命予後や生活の質に大きな影響を及ぼす.今回,当院で血液疾患に対して同種造血幹細胞移植を受けた小児患者 72 例における HSCT 後の AKI と CKD の発症率およびリスク因子の特定を目的として,後方視的に検討を行った.AKI の発症率は 59.7% で,うち 2 例(4.7%)が腎代替療法を要した.HSCT 後の AKI のリスク因子は骨髄破壊的前処置(MAC) であった.一方,CKD の累積発症率は 18.2%で,うち 1 例(10%)がstage 3 であった.CKD のリスク因子は HSCT 後の AKI であった.小児の HSCT 後の AKI と CKD の発症率は決して低くない.HSCT 患者に対しては小児腎臓病医も積極的に介入し,AKI の予防と進行抑制に努めるべきである.
ISSN:0915-2245
1881-3933
DOI:10.3165/jjpn.oa.2020.0177