2. 小児期発症IgA腎症における病理学的分類の妥当性に関する研究
【目的】IgA腎症の病理分類に関する国際的取り組みが進み, 国際IgA腎症ネットワークによりOxford分類が提唱された. その後, 多くの国から異なったコホートでのOxford分類の妥当性に関する追跡研究が行われているが, 半月体の扱いやステロイドなど積極的治療適応との関連などさらなる研究が必要と考えられている. また, Oxford分類を用い追跡生検を評価した報告は少ない. 今回私達は, 追跡生検を施行した小児期発症IgA腎症におけるOxford分類の意義を検討した. 【方法】初回生検, 追跡生検ともに糸球体を8個以上確認することができ, 経過中に尿蛋白クレアチニン比(UPCR)0.5以上...
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Veröffentlicht in: | 日本小児腎臓病学会雑誌 2012-04, Vol.25 (1), p.83-83 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】IgA腎症の病理分類に関する国際的取り組みが進み, 国際IgA腎症ネットワークによりOxford分類が提唱された. その後, 多くの国から異なったコホートでのOxford分類の妥当性に関する追跡研究が行われているが, 半月体の扱いやステロイドなど積極的治療適応との関連などさらなる研究が必要と考えられている. また, Oxford分類を用い追跡生検を評価した報告は少ない. 今回私達は, 追跡生検を施行した小児期発症IgA腎症におけるOxford分類の意義を検討した. 【方法】初回生検, 追跡生検ともに糸球体を8個以上確認することができ, 経過中に尿蛋白クレアチニン比(UPCR)0.5以上の30小児例[平均年齢10.1歳]を対象に, 臨床病理学的な再検討を試みた. 組織標本を盲検化の下, 腎病理医による組織学的重症度の再分類を施行した. また, tubular atrophy/interstitial fibrosis(T)検討は, 画像解析を行い定量的に評価した. 【結果】初回生検と比較し, 追跡生検では% glomeruli with segmental sclerosis or adhesion(S)と% glomeruli with crescent(C)が有意に改善を示した. 十分なステロイド治療(免疫抑制薬併用)を施行した25例にかぎると, M-score(P=0.029), S(P=0.010), C(P=0.003)の改善を認めた. また, 尿蛋白残存群(最終受診時のUPCR≧0.5の17例)と消失群(最終受診時のUPCR<0.5の8例)に分けて, 両生検の病理所見を比較検討したところ, 残存群では初回生検のCが有意に高値(P=0.045)であり, Sも高い傾向(P=0.069)を認めた. しかし, 追跡生検では両群間の病理所見に有意な差は認めなかった. 最後に, Oxford分類の各パラメーター(MEST)の推移にて, 臨床所見を比較検討したところ, S1→S1群は, S1→S0群に比し, 尿蛋白残存(最終受診時)率が有意に高かった(P=0.0009). 【結論】小児期発症IgA腎症において, 初回生検のSやC, また追跡生検におけるSの残存が, 将来の尿蛋白残存の有用な指標になる可能性が考えられた. 今後のさらなる検討が必要である. |
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ISSN: | 0915-2245 |