11.2年間寛解を維持した後に再発した紫斑病性腎炎の1男児例

【はじめに】紫斑病性腎炎が長期寛解後に再発する報告例は少ない. われわれは, 2年間寛解状態を保った後に再発した紫斑病性腎炎を経験したので報告する. 【症例】9歳男児. 平成17年8月下旬(5歳時)にアレルギー性紫斑病となり, 同年11月の腎生検でISKDC分類gradeIIIbであったためプレドニゾロン, シクロホスファミドを含むカクテル療法を行い, 平成19年7月に尿潜血, 尿蛋白いずれも陰性化した. その後は検尿異常なく経過していたが, 平成21年9/4から紫斑, 9/12から血尿と蛋白尿が出現し悪化したため10/2に入院. 【検査】BUN 15.6mg/dl, Cr 0.41mg/dl...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本小児腎臓病学会雑誌 2011, Vol.24 (1), p.161-162
Hauptverfasser: 岩城拓磨, 神内済, 小谷野薫, 小西行彦, 伊地知園子, 西庄佐恵, 岩瀬孝志, 今井正, 磯部健一, 伊藤進
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:【はじめに】紫斑病性腎炎が長期寛解後に再発する報告例は少ない. われわれは, 2年間寛解状態を保った後に再発した紫斑病性腎炎を経験したので報告する. 【症例】9歳男児. 平成17年8月下旬(5歳時)にアレルギー性紫斑病となり, 同年11月の腎生検でISKDC分類gradeIIIbであったためプレドニゾロン, シクロホスファミドを含むカクテル療法を行い, 平成19年7月に尿潜血, 尿蛋白いずれも陰性化した. その後は検尿異常なく経過していたが, 平成21年9/4から紫斑, 9/12から血尿と蛋白尿が出現し悪化したため10/2に入院. 【検査】BUN 15.6mg/dl, Cr 0.41mg/dl, 尿蛋白2.73g/日, CCr 134.1ml/min/1.73m2. 【組織】糸球体10個のうち7個は全節性硬化, 残りの3個はメサンギウム増殖のみで半月体形成はなかった. 全節性硬化糸球体のまわりには尿細管の萎縮や線維化, 軽度のリンパ球浸潤を認め, 糸球体の硬化が短期間に起こった変化とは考えにくいため初発時に硬化した糸球体と考えた. 残存糸球体が3個と少なくISKDC分類不能であった. 【経過】半月体形成はなかったが高度の蛋白尿を認めたため10/7よりステロイドパルス療法3クール行い, その後プレドニゾロン, ミゾリビンを含めたカクテル療法を行った. 経過中にCrの上昇は認めなかった. 再発時に施行した腎生検では採取糸球体が10個と少なかったため22年1/13に再生検施行. 糸球体を31個採取したがやはり大部分(約80%)が全節性硬化を呈していた. 【考察】初発時にISKDC分類gradeIIIbであったが, 4年後の再発時には糸球体の7割が, その3か月後の再生検でも8割が全節性硬化を呈しておりCrが正常でも予後は楽観視できないと思われた.
ISSN:0915-2245