2.血液濾過透析を要し, 経過中PRESを発症したアシクロビル過量投与による急性腎障害の1例
【はじめに】アシクロビルは腎機能が低下している患者において中枢神経症状, 腎障害を呈することがある. 今回我々は, 血液濾過透析(CHDF)を要し, 経過中にPRES(Posterior Reversible Encephalopathy Syndrome)を発症したアシクロビル過量投与による急性腎障害の1例を経験したので報告する. 【症例】4歳男児. 【現病歴】ヘルペス性歯肉口内炎のため近医で加療していたが, 内服困難となり近医入院の上, 輸液加療, アシクロビル点滴投与となった. アシクロビル投与終了1時間後に50mg/kgの過量投与をしたことが判明し輸液を行ったが, 乏尿, 血清クレアチ...
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Veröffentlicht in: | 日本小児腎臓病学会雑誌 2011, Vol.24 (1), p.139-139 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】アシクロビルは腎機能が低下している患者において中枢神経症状, 腎障害を呈することがある. 今回我々は, 血液濾過透析(CHDF)を要し, 経過中にPRES(Posterior Reversible Encephalopathy Syndrome)を発症したアシクロビル過量投与による急性腎障害の1例を経験したので報告する. 【症例】4歳男児. 【現病歴】ヘルペス性歯肉口内炎のため近医で加療していたが, 内服困難となり近医入院の上, 輸液加療, アシクロビル点滴投与となった. アシクロビル投与終了1時間後に50mg/kgの過量投与をしたことが判明し輸液を行ったが, 乏尿, 血清クレアチニンの上昇を認めるため, 当科紹介入院となった. 【入院時検査所見】WBC 9400/μl, Hct 38.9%, 血清クレアチニン1.10mg/dl, 血清尿素窒素16mg/dl, Na 133mEq/l, K3.8mEq/l, CRP 2.19mg/dl, 尿蛋白(4+), 尿潜血(-). 【入院後経過】入院後より, 輸液, 利尿剤投与を行うも排尿が認められず, 浮腫が増強し, 腎機能の悪化を認めたため入院12時間後にCHDFの導入となった. CHDFを72時間施行し利尿を認め, 透析を離脱できたが, 血圧が徐々に上昇(140~160/60~100)したため, 塩酸ニカルジピンの持続投与を入院4日目より開始し血圧は安定した. 入院6日目の夜間よりつじつまの合わない会話が始まり, 眼球の右偏視~上転となり, 間代性痙攣を起こした. 150/89と血圧の再上昇を認めていたため, 降圧剤増量, ミダゾラム投与を行い痙攣は頓挫した. 痙攣頓挫後, 頭部MRIを撮影したところ, T2W, FLAIR画像で後頭葉に高信号域を認め, PRESと診断した. 以後利尿剤投与, 降圧剤の増量を行うことで再燃は認めず, 利尿剤中止, 降圧剤内服とし, 腎機能の回復を認めた. 痙攣3日後MRIでは当初認められたPRESは縮小傾向にあり, 2か月後再検したところ消失していることを確認した. 【考察】今回の異常言動を伴う痙攣発作の原因としてはアシクロビル脳症, 高血圧性脳症, 双方の可能性が考えられた. |
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ISSN: | 0915-2245 |