小児ネフローゼ症候群における抗酸化物質としての血清アルブミンの役割

小児の特発性ネフローゼ症候群 (Idiopathic Nephrotic Syndrome: INS) では,細菌性腹膜炎など重篤な感染症を合併しやすいが明確な理由は不明である。近年,高度の低アルブミン血症を呈しているINS患児は高率に腹膜炎を合併するという報告が見られる。実際,アルブミンは主要な生体内抗酸化物質であり,感染防御においても重要な役割を担っている可能性がある。以上より筆者らは,「INSにおける低アルブミン血症が抗酸化力低下,酸化ストレス増大を招き感染症が重症化する」という仮説のもとに,INS患者における酸化ストレス (活性酸素・フリーラジカルと抗酸化力のバランス) と血清アルブミ...

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Veröffentlicht in:日本小児腎臓病学会雑誌 2010/11/15, Vol.23(2), pp.164-167
Hauptverfasser: 下, 智比古, 高橋, 雅也, 武輪, 鈴子, 田中, 幸代, 蓮井, 正史, 金子, 一成
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:小児の特発性ネフローゼ症候群 (Idiopathic Nephrotic Syndrome: INS) では,細菌性腹膜炎など重篤な感染症を合併しやすいが明確な理由は不明である。近年,高度の低アルブミン血症を呈しているINS患児は高率に腹膜炎を合併するという報告が見られる。実際,アルブミンは主要な生体内抗酸化物質であり,感染防御においても重要な役割を担っている可能性がある。以上より筆者らは,「INSにおける低アルブミン血症が抗酸化力低下,酸化ストレス増大を招き感染症が重症化する」という仮説のもとに,INS患者における酸化ストレス (活性酸素・フリーラジカルと抗酸化力のバランス) と血清アルブミンの関連について検討を進めている。  本論文では,1) INSにおける酸化ストレスの関与,2) アルブミンの抗酸化物質としての作用機序,そして,3) INS患者血清や静注用アルブミン製剤のアルブミン濃度と抗酸化力の関係,について自験成績を紹介しながら概説する。
ISSN:0915-2245
1881-3933
DOI:10.3165/jjpn.23.164