5. メサンギウム領域から係蹄にかけてIgGとC3の有意な沈着を認めたMPO-ANCA陽性の急速進行性糸球体腎炎の1小児例
【はじめに】ANCA関連腎炎はpauci-immuneを特徴とするが, 免疫グロブリンの有意な沈着や高電子密度沈着物(EDD)を認める症例が存在することが報告されている. しかし, immune complex(IC)沈着の病態やその病的意義は不明である. 今回, メサンギウム領域から係蹄にかけてIgGとC3の優位な沈着を認めたMPO-ANCA陽性の急速進行性糸球体腎炎の小児例を経験した. 【症例】11歳男児. 肉眼的血尿と顔面浮腫, そして学校検尿で血尿と蛋白尿を指摘され近医を受診, 低蛋白血症と血清クレアチニン(S-Cr)値の上昇(1.2mg/dlのを認め, 精査加療の必要性を指摘された....
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Veröffentlicht in: | 日本小児腎臓病学会雑誌 2010, Vol.23 (1), p.76-76 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】ANCA関連腎炎はpauci-immuneを特徴とするが, 免疫グロブリンの有意な沈着や高電子密度沈着物(EDD)を認める症例が存在することが報告されている. しかし, immune complex(IC)沈着の病態やその病的意義は不明である. 今回, メサンギウム領域から係蹄にかけてIgGとC3の優位な沈着を認めたMPO-ANCA陽性の急速進行性糸球体腎炎の小児例を経験した. 【症例】11歳男児. 肉眼的血尿と顔面浮腫, そして学校検尿で血尿と蛋白尿を指摘され近医を受診, 低蛋白血症と血清クレアチニン(S-Cr)値の上昇(1.2mg/dlのを認め, 精査加療の必要性を指摘された. しかし, 十分な理解が得られずに他院で針治療が行われ, 3ヵ月後にS-Cr値が4.5mg/dlまで上昇したため, 当院へ紹介となった. なお発症時に明らかな先行感染や皮疹は認めなかった. 【入院後経過と腎生検所見】両眼瞼浮腫, 高血圧, 全身倦怠感および嘔気を認めたが, 腎外症状は認められなかった. 腎生検は, 光顕では90%の糸球体が新旧の半月体を伴って荒廃し, 広汎な尿細管の委縮と間質の線維化を認めた. 免疫蛍光染色法ではメサンギウム領域から係蹄にかけてIgGとC3の優位な顆粒状沈着像を認め, 電顕ではメサンギウム領域から内皮下, 一部基底膜内にEDDを認めた. 血液検査でMPO-ANCAは138EUであったが, その他の免疫学的検査異常は認めず, 約2週間後に腹膜透析導入となった. 【抗MPO抗体と抗IgG抗体の2重染色】Rhodamine標識抗MPO抗体染色部位とFITC標識抗IgG抗体染色部位はほぼ一致し, 黄色に染色された. 【結語】免疫電顕による検討が必要ではあるが, MPOを抗原とするICが本症例の病態に関与している可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0915-2245 |