6. 3年後に紫斑病性腎炎を再発し, 血漿交換を施行した1例

【目的】アレルギー性紫斑病(HSP)のうち紫斑病性腎炎(HSPN)を合併するのは3割から6割であり, HSPN再発の大半は1年以内といわれている. 今回, HSPNの寛解3年後にネフローゼ状態を伴う腎炎で再燃し, 血漿交換を施行した1女児例を経験したので報告する. 【症例】10歳女児. 平成17年12月に紫斑・関節痛・血便を認め, アレルギー性紫斑病の診断で近医入院. その後, 尿蛋白が1.8g/dayまで増加したため, メチルプレドニゾロンパルス療法と後療法としてのステロイド剤の投与を行い, 4ヵ月後に尿蛋白が陰性化した. 治療終了後は尿所見の異常なく経過していた. 平成20年11月, 再度...

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Veröffentlicht in:日本小児腎臓病学会雑誌 2009, Vol.22 (2), p.247-247
Hauptverfasser: 陶山和秀, 川崎幸彦, 牛嶋裕美子, 酒井信子, 橋本浩一, 細矢光亮
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】アレルギー性紫斑病(HSP)のうち紫斑病性腎炎(HSPN)を合併するのは3割から6割であり, HSPN再発の大半は1年以内といわれている. 今回, HSPNの寛解3年後にネフローゼ状態を伴う腎炎で再燃し, 血漿交換を施行した1女児例を経験したので報告する. 【症例】10歳女児. 平成17年12月に紫斑・関節痛・血便を認め, アレルギー性紫斑病の診断で近医入院. その後, 尿蛋白が1.8g/dayまで増加したため, メチルプレドニゾロンパルス療法と後療法としてのステロイド剤の投与を行い, 4ヵ月後に尿蛋白が陰性化した. 治療終了後は尿所見の異常なく経過していた. 平成20年11月, 再度紫斑が出現し, 徐々に紫斑の増強を認めた. その後2g/dayの蛋白尿が出現し, プレドニゾロン(PSL)2mg/kg/dayを開始したが, 胃腸炎を契機にさらなる蛋白尿の増悪がみられ(3~6g/day), 12月に当科に紹介され入院した. 【経過】当科入院時, 6g/dayの蛋白尿と低蛋白血症・低アルブミン血症・浮腫を認め, ネフローゼ状態であった. 腎生検を施行したところ, 高度半月体形成を呈するメサンギウム増殖性腎炎がみられ, ISKDC grade Vと診断した. 1日尿蛋白は8~10gと増悪し, 低アルブミン血症の進行がみられたことから, 血漿交換(5回)とメチルプレドニゾロンパルス療法を計3回施行した. 血漿交換終了後より尿蛋白は10g/day前後から徐々に改善し, 現在2g/day前後で推移している. 【結語】今回, 初回発症3年後に突然ISKDC grade Vの重症HSPNを呈した10歳女児を経験した. HSPN患児においては, 自検例のような再発例も認められることから, 再発を考慮した管理をする必要があると思われる.
ISSN:0915-2245