9. IgA腎症発症の4年後に紫斑病性腎炎を呈した1例

【始めに】IgA腎症と紫斑病性腎炎では多くの免疫学的共通があり, 腎組織所見が酷似しているため, 両疾患の異同が論議されている. 今回我々は, IgA腎症で経過観察中の児が紫斑病性腎炎を呈したので報告する. 【症例】平成15年5月学校検尿で血尿及び蛋白尿を指摘され近病院を受診した. 腎生検を行いIgA腎症と診断され, ステロイド剤, 抗血小板剤, 抗凝固薬の内服を開始した. 平成17年に尿所見は正常化し, 平成18年7月にはステロイド剤の内服を中止した. 以後は抗血小板剤の内服のみで同院外来でフォローされていた. 平成19年11月下旬に下肢に紫斑が出現したため同院を受診した. アレルギー性紫斑...

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Veröffentlicht in:日本小児腎臓病学会雑誌 2008, Vol.21 (1), p.255-255
Hauptverfasser: 陶山和秀, 川崎幸彦, 宮下朋子, 高野恵, 橋本浩一, 鈴木順造, 細矢光亮
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【始めに】IgA腎症と紫斑病性腎炎では多くの免疫学的共通があり, 腎組織所見が酷似しているため, 両疾患の異同が論議されている. 今回我々は, IgA腎症で経過観察中の児が紫斑病性腎炎を呈したので報告する. 【症例】平成15年5月学校検尿で血尿及び蛋白尿を指摘され近病院を受診した. 腎生検を行いIgA腎症と診断され, ステロイド剤, 抗血小板剤, 抗凝固薬の内服を開始した. 平成17年に尿所見は正常化し, 平成18年7月にはステロイド剤の内服を中止した. 以後は抗血小板剤の内服のみで同院外来でフォローされていた. 平成19年11月下旬に下肢に紫斑が出現したため同院を受診した. アレルギー性紫斑病と診断され, 紫斑は2週間で消失したが, 12月15日より血尿が出現し, 12月27日には尿蛋白が3+~4+になったため, 精査加療目的に当科へ紹介され入院した. 腎生検および臨床経過より, IgA腎症の臨床的寛解後約3年経過して紫斑病性腎炎が発症したと考えられた. 【結論】同一症例で紫斑病性腎炎とIgA腎症を発症した症例の報告は少なく, 両疾患の発症機序を考えるうえで自験例は貴重な症例と思われた.
ISSN:0915-2245