III型Bartter症候群患者における利尿剤負荷試験~Gitelman症候群との類似性の機序に関する研究

【緒言】遺伝性尿細管疾患であるBartter症候群(BS)とGitelman症候群(GS)はその原因遺伝子が既に同定され, BSはI型からIV型まで分類できることが明らかとなった. これまでGSで低Ca尿症, 低Mg血症を認めることにより両疾患は臨床的に区別されてきたが, 最近, III型BSの一部の患者では低Ca尿症, 低Mg血症を伴うことが報告された. BSではfurosemideに無反応, GSではthiazideに無反応であることが過去に報告されており, III型BSにおいてはクロライドチャネルClC-Kbの障害により二次的にfurosemideの作用点であるNKCC2を障害することで...

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Veröffentlicht in:日本小児腎臓病学会雑誌 2008, Vol.21 (1), p.234-234
Hauptverfasser: 神田杏子, 野津寛大, 貝藤裕史, 松尾雅文, 亀井宏一, 飯島一誠, 中西浩一, 吉川徳茂, 関根孝司, 五十嵐隆, 小松博史, 宮下律子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【緒言】遺伝性尿細管疾患であるBartter症候群(BS)とGitelman症候群(GS)はその原因遺伝子が既に同定され, BSはI型からIV型まで分類できることが明らかとなった. これまでGSで低Ca尿症, 低Mg血症を認めることにより両疾患は臨床的に区別されてきたが, 最近, III型BSの一部の患者では低Ca尿症, 低Mg血症を伴うことが報告された. BSではfurosemideに無反応, GSではthiazideに無反応であることが過去に報告されており, III型BSにおいてはクロライドチャネルClC-Kbの障害により二次的にfurosemideの作用点であるNKCC2を障害することで発症すると推測されてきた. しかし, 遺伝子診断により病型分類されたIII型BS患者における利尿剤負荷試験の報告はこれまで存在しない. 【方法】遺伝子診断でIII型BSと診断できた患者5例に対し, furosemide, thiazideを投与し, 投与前後におけるNaの排泄率(FENa), Clの排泄率(FECl), Clクリアランス(CCl)の測定を行った. 【結果】5例全例で, furosemide負荷後にはFENa, FECl, CClともに上昇し良好な反応を認めた. thiazide負荷にてはFENa, FECl, CClともに変化なく無反応であった. 【考察】従来の予想に反し, III型BSはその全例においてfurosemideに良好な反応を示す一方, thiazideへの反応は認めなかった. III型BSにおいてはむしろGSと臨床病型も類似しており, その原因が, thiazideの作用点でありGSにおいて直接障害されているNCCTの二次的障害によることが今回の研究で初めて明らかとなった. この結果からIII型BSはGSの亜系に分類される可能性があり, 今後, 各病型で同様の試験を行いBSの臨床的再分類を試みる必要があると考えられた.
ISSN:0915-2245