ヒト肝癌細胞におけるp16遺伝子プロモーター領域のメチル化:Rb蛋白リン酸化と細胞増殖への影響

「はじめに」肝細胞癌は世界的にも頻度の高い悪性腫瘍であり, その発症はB型, C型肝炎ウイルスと密接に関係している. しかしその癌化メカニズムについては十分には明らかにされてない. 肝細胞癌の発症には多くの因子が関与しており, このうち癌遺伝子の増幅や過剰発現, 癌抑制遺伝子の欠失や変異などが重要とされている1). 癌抑制遺伝子の1つであるp16は, 細胞周期と関係しており, サイクリンDのパートナーであるcyclin-dependent kinase 4(CDK4)またはCDK6に直接結合し, サイクリンDによるretinoblastoma(Rb)タンパクのリン酸化を阻害し2), これにより...

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Veröffentlicht in:米子医学雑誌 2005-01, Vol.56 (1), p.28-36
Hauptverfasser: 前田佳子, 大浜栄作, 村脇義和
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」肝細胞癌は世界的にも頻度の高い悪性腫瘍であり, その発症はB型, C型肝炎ウイルスと密接に関係している. しかしその癌化メカニズムについては十分には明らかにされてない. 肝細胞癌の発症には多くの因子が関与しており, このうち癌遺伝子の増幅や過剰発現, 癌抑制遺伝子の欠失や変異などが重要とされている1). 癌抑制遺伝子の1つであるp16は, 細胞周期と関係しており, サイクリンDのパートナーであるcyclin-dependent kinase 4(CDK4)またはCDK6に直接結合し, サイクリンDによるretinoblastoma(Rb)タンパクのリン酸化を阻害し2), これにより細胞周期は負に調節されている. 癌におけるp16遺伝子の不活性化には, homozygous deletionや塩基置換3)などのジェネティックな異常とともに, メチル化によるp16遺伝子産物の発現低下が知られている. しかし肝細胞癌でのp16遺伝子のジェネティックな異常は他の癌抑制遺伝子であるp53に比べて少なく4), メチル化というエピジェネティックな変化を受けていると報告されている2).
ISSN:0044-0558