無作為割付による石鹸清拭直前の熱布加温が皮膚表面pHおよび角質水分量に及ぼす影響に関する検討

「はじめに」皮膚は石鹸で洗浄されると, 皮膚表面から皮脂膜が除去され, 角質水分保持機能をもつ角質細胞間脂質や水溶性保湿因子が流出する. その結果, 角層のバリア機能が低下し, 角層の乾燥化が生じる1). また, 皮膚にはアルカリ性になった状態を中和し, 元の酸性に戻す緩衝作用(アルカリ中和能)があるが2), アルカリ性である石鹸成分が皮膚に残留すると皮膚の酸性化に時間がかかり3), 皮膚の防御機能の役割を担う皮膚の常在菌の増殖が遅れ, さらにはバリア機能の回復4)に影響する. 石鹸清拭は, 疾病等などの何らかの理由で入浴やシャワーができないときに用いられる清潔方法である. したがって, 石鹸...

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Veröffentlicht in:米子医学雑誌 2004, Vol.55 (6), p.280-288
Hauptverfasser: 松田明子, 笠城典子, 深田美香, 宮脇美保子, 石倉弥生, 南前恵子, 内田宏美
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」皮膚は石鹸で洗浄されると, 皮膚表面から皮脂膜が除去され, 角質水分保持機能をもつ角質細胞間脂質や水溶性保湿因子が流出する. その結果, 角層のバリア機能が低下し, 角層の乾燥化が生じる1). また, 皮膚にはアルカリ性になった状態を中和し, 元の酸性に戻す緩衝作用(アルカリ中和能)があるが2), アルカリ性である石鹸成分が皮膚に残留すると皮膚の酸性化に時間がかかり3), 皮膚の防御機能の役割を担う皮膚の常在菌の増殖が遅れ, さらにはバリア機能の回復4)に影響する. 石鹸清拭は, 疾病等などの何らかの理由で入浴やシャワーができないときに用いられる清潔方法である. したがって, 石鹸清拭の対象者は, 皮膚のバリア機能の低下もきたしていると考えられる. 石鹸清拭の場合, 拭き取りだけでは石鹸成分が残留することが報告されている4,5). 石鹸清拭において, 拭き取り方法と皮膚の石鹸成分の残留との関連を検討した研究は多く6-11), 山口ら6)は付着した石鹸の60%以上を除去するためには3回以上の拭き取りが必要であることを明らかにしている.
ISSN:0044-0558