温熱刺激により発現される熱ショック蛋白72がlipopolysaccharideにより誘導されるラット肺水腫へおよぼす影響に関する検討

「はじめに」多くの臓器で様々な侵襲刺激に対して熱ショック蛋白(Heat shock protein:以下HSPと略)を誘導する反応が見られる. HSPの中でも70kDaのHSPであるHSP70ファミリーは最も研究が進んでいる. 温熱刺激はHSPを誘導し細胞保護効果を発現することは, 肝臓, 心臓, 腎臓, 小腸, 肺臓などの臓器で報告がある. 具体的には, 温熱刺激やHSP誘導性薬剤の前処置により, 肝移植後の生存率やグラフトの機能を改善したり1,2), 心筋3,4), 腎臓5,6), 小腸7)での虚血再環流傷害を保護するなどの報告がある. 敗血症により実験的に引き起こされた多臓器不全に対して...

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Veröffentlicht in:米子医学雑誌 2004, Vol.55 (2), p.80-92
Hauptverfasser: 船越多恵, 石部裕一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」多くの臓器で様々な侵襲刺激に対して熱ショック蛋白(Heat shock protein:以下HSPと略)を誘導する反応が見られる. HSPの中でも70kDaのHSPであるHSP70ファミリーは最も研究が進んでいる. 温熱刺激はHSPを誘導し細胞保護効果を発現することは, 肝臓, 心臓, 腎臓, 小腸, 肺臓などの臓器で報告がある. 具体的には, 温熱刺激やHSP誘導性薬剤の前処置により, 肝移植後の生存率やグラフトの機能を改善したり1,2), 心筋3,4), 腎臓5,6), 小腸7)での虚血再環流傷害を保護するなどの報告がある. 敗血症により実験的に引き起こされた多臓器不全に対しても, 温熱刺激の前処置が臓器保護的に作用するという報告がある8,9). このようにHSP誘導は, 化学的(スーパーオキサイドなど), 感染(細菌など), 環境(熱など), 炎症(lipopolysaccharide(LPS)など)のストレスに対して細胞が備えている本来の保護機序と考えられる.
ISSN:0044-0558