ヒト食道癌におけるcyclooxygenase-2の発現:P53との関連
「はじめに」近年, 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を長期服用する患者では大腸癌の発癌リスクが低下することが疫学的に示された1). 食道癌においても同様の結果が示された2). NSAIDsはcyclooxygenase(COX)を阻害する薬剤であり, 主として消炎鎮痛目的で使用されてきたが, 発がん率低下との関連から注目を浴びるようになった. COXはアラキドン酸カスケードを触媒する酵素であり, アラキドン酸を基質としてプロスタグランジン(PG)G2, さらにはPGH2への代謝経路を触媒する3). COXの2つのアイソザイムのうちCOX-2はホルモン, 増殖因子或いはサイトカイン等で誘導...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 米子医学雑誌 2002, Vol.53 (6), p.301-310 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 「はじめに」近年, 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を長期服用する患者では大腸癌の発癌リスクが低下することが疫学的に示された1). 食道癌においても同様の結果が示された2). NSAIDsはcyclooxygenase(COX)を阻害する薬剤であり, 主として消炎鎮痛目的で使用されてきたが, 発がん率低下との関連から注目を浴びるようになった. COXはアラキドン酸カスケードを触媒する酵素であり, アラキドン酸を基質としてプロスタグランジン(PG)G2, さらにはPGH2への代謝経路を触媒する3). COXの2つのアイソザイムのうちCOX-2はホルモン, 増殖因子或いはサイトカイン等で誘導され, 大腸癌, 胃癌, 食道癌をはじめとする多くの消化器癌において, 癌部で過剰発現していることが報告されている4-7). さらにCOX-2の発現によりPGE2が産生され, 表皮増殖因子(EGF)受容体の発現が誘導されることが報告され8), COX-2発現に伴う発がん, 腫瘍の進展機序が明らかにされつつある. COX-2を発現するBarrett食道関連食道腺癌細胞にCOX-2選択的阻害剤処理をすることにより, 癌細胞の増殖が抑制され, アポトーシスが誘導されることが報告されている9). 扁平上皮癌squamous cell carcinoma ; (SCC)由来培養細胞においても同様の報告がされており7), アポトーシスの誘導にミトコンドリアからのチトクロームcの放出が関与する10). |
---|---|
ISSN: | 0044-0558 |