シグナル伝達因子としてのtubbyおよびtubby like protein 3(tulp3)遺伝子の機能解析
「はじめに」肥満は, II型糖尿病, 高血圧, 脳血管障害, 高脂血症などを含む各種疾患の原因, あるいは危険因子として医学のみならず生物学的にも重要である1). 肥満のメカニズムについてはいままで多くの研究がなされてきたが, 近年の分子生物学の進歩により単一遺伝子異常による肥満マウスとして, obese, diabetes, fat, agouti yellowなどが明らかにされ2), これらの遺伝子機能の解析は, 肥満のメカニズムの解明に極めて重要である. 本研究において解析を行ったtubbyは, 劣性遺伝様式を示す成熟発症性肥満マウスよりポジショナルクローニングによって同定された肥満の原...
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Veröffentlicht in: | 米子医学雑誌 2002, Vol.53 (2), p.139-150 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「はじめに」肥満は, II型糖尿病, 高血圧, 脳血管障害, 高脂血症などを含む各種疾患の原因, あるいは危険因子として医学のみならず生物学的にも重要である1). 肥満のメカニズムについてはいままで多くの研究がなされてきたが, 近年の分子生物学の進歩により単一遺伝子異常による肥満マウスとして, obese, diabetes, fat, agouti yellowなどが明らかにされ2), これらの遺伝子機能の解析は, 肥満のメカニズムの解明に極めて重要である. 本研究において解析を行ったtubbyは, 劣性遺伝様式を示す成熟発症性肥満マウスよりポジショナルクローニングによって同定された肥満の原因遺伝子の1つである. tubbyマウスにおいては, 摂食中枢が存在する視床下部の神経細胞のアポトーシスに加えて, 網膜変性症や蝸牛神経障害を伴い, 神経細胞の障害がこれらの表現型を招来すると考えられている3,4). その後, tubby like protein 1(tulpl), さらにtulp2が同定された5). tulp1は, ヒトの網膜変性症の原因遺伝子である6,7). また, ヒトgenomic DNAあるいはマウス脳cDNAでのPCRスクリーニグによって, tubby遺伝子と80%の相同性を有するtulp3が同定された8). これらの遺伝子は, 哺乳動物では4つの遺伝子からなるtubby遺伝子群を構成し, ショウジョウバエ, 線虫, 植物など各種生物に広く保存されている3). |
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ISSN: | 0044-0558 |