嚥下障害診療の標準化と普及

嚥下内視鏡検査(VE)はその簡便性および高い機動性から本邦において現在広く普及している嚥下評価法である. また, 2014年度診療報酬改定に際し, 嚥下機能評価を術前に実施することで胃瘻造設時嚥下機能評価加算が算定できるようになった. それにより従来嚥下機能評価を実施していなかった外科医や内科医などによりVEが実施される機会が増加した. このように, 経鼻内視鏡を日常業務の一環として実施している耳鼻咽喉科医に限らず, 多くの診療科に渡ってVEが実施されるようになりつつある. VEの評価方法として, Langmoreや日本摂食嚥下リハビリテーション学会の提唱する評価用紙が挙げられるが, いずれも...

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Veröffentlicht in:喉頭 2018/12/01, Vol.30(2), pp.53-53
Hauptverfasser: 長尾, 明日香, 弘瀬, かほり, 兵頭, 政光
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:嚥下内視鏡検査(VE)はその簡便性および高い機動性から本邦において現在広く普及している嚥下評価法である. また, 2014年度診療報酬改定に際し, 嚥下機能評価を術前に実施することで胃瘻造設時嚥下機能評価加算が算定できるようになった. それにより従来嚥下機能評価を実施していなかった外科医や内科医などによりVEが実施される機会が増加した. このように, 経鼻内視鏡を日常業務の一環として実施している耳鼻咽喉科医に限らず, 多くの診療科に渡ってVEが実施されるようになりつつある. VEの評価方法として, Langmoreや日本摂食嚥下リハビリテーション学会の提唱する評価用紙が挙げられるが, いずれも非常に詳細な評価項目からなるため, 多忙な日常業務内では評価内容が膨大となり汎用性が乏しい. そこで, 兵頭らは簡便かつ客観的な評価方法として, 咽喉頭の唾液貯留, 声門閉鎖反射および咳反射の惹起性, 嚥下反射の惹起性, 着色水嚥下による咽頭クリアランスの4項目をそれぞれ4段階で評価する嚥下内視鏡スコア評価法(VEスコア)を提唱した. その高い客観性, 信頼性からVEの評価方法として耳鼻咽喉科関連学会を中心に広く普及しつつある. 本評価法の最大の利点はそのシンプルさにあり, 外来診療中に直ちに評価でき, 各パラメータのスコア推移から嚥下機能の病態別変化を経時的に捉えることができるため, 治療方針検討の議論を行う際にも有用である. また, 言語聴覚士や嚥下障害を専門としない医師でも客観的な評価が行えることが報告されている. 更に, スコア評価結果を基にして, 経口摂取の可否の判断, 嚥下訓練手技の選択などにつなげることもできる. 本評価方法が普及すれば, 医療者間や施設間での情報共有も容易になることが期待できる. 本口演では, VEスコア評価法の妥当性を報告すると共に, 使用する際の注意点について述べる.
ISSN:0915-6127
2185-4696
DOI:10.5426/larynx.30.53