仮声帯切除術後に発生した喉頭SACCULAR CYST (喉頭小嚢嚢胞) の一例
「はじめに」声門癌T1aだが, 声帯上面外方への腫瘍の進展範囲が仮声帯に遮られて確認できないケースに対して, 喉頭顕微鏡下CO2レーザー切除術(以下, 顕微鏡下レーザー手術)をおこなう場合には, まず仮声帯を切除して声帯上面全体を露出し, 腫瘍の進展範囲を確認してから声帯の切除を開始するのが原則である. この方法は, Kashima 1~3)がvestibulectomy(仮声帯切除術)と命名した術式で, 術後の合併症も特に報告されていない極めて安全な方法であり, わが国4)でも広く行われている一般的な方法である. 一方, saccular cyst(喉頭小嚢嚢胞)はDe Santo 5)によ...
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Veröffentlicht in: | 喉頭 2002/12/01, Vol.14(2), pp.128-136 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「はじめに」声門癌T1aだが, 声帯上面外方への腫瘍の進展範囲が仮声帯に遮られて確認できないケースに対して, 喉頭顕微鏡下CO2レーザー切除術(以下, 顕微鏡下レーザー手術)をおこなう場合には, まず仮声帯を切除して声帯上面全体を露出し, 腫瘍の進展範囲を確認してから声帯の切除を開始するのが原則である. この方法は, Kashima 1~3)がvestibulectomy(仮声帯切除術)と命名した術式で, 術後の合併症も特に報告されていない極めて安全な方法であり, わが国4)でも広く行われている一般的な方法である. 一方, saccular cyst(喉頭小嚢嚢胞)はDe Santo 5)によって提唱された喉頭嚢胞の分類名のひとつであり, 喉頭小嚢の開口部が閉塞することによって生じる嚢胞で, 欧米でも比較的稀な疾患であるが本邦ではわずか数例6~10)しか報告されていない極めて稀な疾患である. われわれは, 声門癌T1aに対する顕微鏡下レーザー手術時に仮声帯切除術をおこなった症例の術後経過観察中に, 喉頭saccular cystを発生したケースを経験したので報告する. 「症例」症例:61歳男性 主訴:嗄声 現病歴:1.5ヶ月前から急に嗄声が出現し, その後も良くならないため2000年9月13日当科を受診した. 初診時喉頭所見:喉頭ファイバースコピー(図1-(1))で, 表面に白板を伴う腫瘍を左声帯に認めた. |
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ISSN: | 0915-6127 2185-4696 |
DOI: | 10.5426/larynx1989.14.2_128 |