中枢における言葉の認知と表出の相互作用
「はじめに」言語の認知と表出の間には密接な相互作用が存在し, これなくしては中枢での言語機能は発達し得ない. 先天聾の子が聴覚の刺激なしに成長すると重大な構音障害をきたすことはよい例である. 言語処理にかかわる中枢の研究はフランスの外科医ブローカに端を発する1). その後もウエルニッケ2), ペンフィールド3)やその研究を引き継ぐ多くの研究者がこの分野の研究にかかわった. これらの研究結果をまとめたのが図1である4). 脳には外側溝, 中心溝と呼ばれる特徴的な溝が二つあるが, 言語処理にかかわる中枢は外側溝の周囲に存在する. 耳に音が入るとまず一次聴覚野に運ばれる. ウエルニッケ野を含む上側頭...
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Veröffentlicht in: | 喉頭 2000/06/01, Vol.12(1), pp.12-16 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「はじめに」言語の認知と表出の間には密接な相互作用が存在し, これなくしては中枢での言語機能は発達し得ない. 先天聾の子が聴覚の刺激なしに成長すると重大な構音障害をきたすことはよい例である. 言語処理にかかわる中枢の研究はフランスの外科医ブローカに端を発する1). その後もウエルニッケ2), ペンフィールド3)やその研究を引き継ぐ多くの研究者がこの分野の研究にかかわった. これらの研究結果をまとめたのが図1である4). 脳には外側溝, 中心溝と呼ばれる特徴的な溝が二つあるが, 言語処理にかかわる中枢は外側溝の周囲に存在する. 耳に音が入るとまず一次聴覚野に運ばれる. ウエルニッケ野を含む上側頭回は聴覚連合野と呼ばれ, 言語処理といった高次の情報処理機能がおこなわれる. 一方, 言葉を話す場合にはまず, ブローカ野で言葉のもととなる内言語が生成される. 上前頭回の内側中部の補足運動野で発話運動を企画し, 中心前回の運動野が活動して発声構音器官を動かすとされている. しかし, これまでの研究では活動中の脳を侵襲なく観察するということが技術的に問題であったためにこれ以上の成果をなかなかあげることができなかった. ところが, 近年の脳機能画像法といった技術革新によりこれが評価できるようになってきた, われわれはその一つであるポジトロン断層法を用いることで言語中枢における表出と認知の中枢機構, とりわけ今まで手のつけられていなかった脳機能局在の相互作用を解明しようと試みた. |
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ISSN: | 0915-6127 2185-4696 |
DOI: | 10.5426/larynx1989.12.1_12 |