気管食道瘻発声者における誤嚥防止機構

「はじめに」 喉頭摘出術(喉摘)後の音声再建として当科では1976年以来気管膜様部を使って気管食道瘻(気食瘻)形成術を行ってきた1). 代用音声として気食瘻発声が優れていることはすでに報告してきた2)が, 一方で瘻孔を通じた誤嚥の可能性を指摘されてきた. 当科では1983年以来, 気食瘻形成術に加えて食道筋肉弁を用いた誤嚥防止術式を行い, 原法と比べて誤嚥の機会を著明に減少させることに成功した3). 本方法は食道の左右の後側壁から筋肉弁を挙上し, 気食瘻の前方で左右の筋肉弁を縫合し, かつそれを気食瘻の前面に縫着するものである(図1). このことにより, 筋肉弁は食道と気食瘻をとりまくリング状...

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Veröffentlicht in:喉頭 1996/06/01, Vol.8(1), pp.23-26
Hauptverfasser: 毛利, 光宏, 佐古田, 美佳, 木西, 實, 天津, 睦郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」 喉頭摘出術(喉摘)後の音声再建として当科では1976年以来気管膜様部を使って気管食道瘻(気食瘻)形成術を行ってきた1). 代用音声として気食瘻発声が優れていることはすでに報告してきた2)が, 一方で瘻孔を通じた誤嚥の可能性を指摘されてきた. 当科では1983年以来, 気食瘻形成術に加えて食道筋肉弁を用いた誤嚥防止術式を行い, 原法と比べて誤嚥の機会を著明に減少させることに成功した3). 本方法は食道の左右の後側壁から筋肉弁を挙上し, 気食瘻の前方で左右の筋肉弁を縫合し, かつそれを気食瘻の前面に縫着するものである(図1). このことにより, 筋肉弁は食道と気食瘻をとりまくリング状の構造物となり, そのリングが食道後壁に固定された状態となる(図2a). 本方法を施行するに当たっては以下に述べるような誤嚥防止機構を期待した(図2b). 食塊通過の際, 食道は後方が椎骨のため前方へ突出する.
ISSN:0915-6127
2185-4696
DOI:10.5426/larynx1989.8.1_23