音声検査法としての発声時最小呼気流率
「1. はじめに」発声機能の空気力学的検査として, 発声時呼気流率, 発声能率(AC/DC), 発声効率などが臨床に応用されている. しかし, これらの検査は, 喉頭調節が一定であることが前提となる. 一般に行われている発声時呼気流率の測定では“無関位”という一定の喉頭調節での発声法で検査を行うか, あるいは高さ, 強さを指定しているわけであるが, その場合でも個人差は勿論のこと, 個体内での測定値のバラツキもかなりあり, 治療前後の比較が困難な症例にしばしば遭遇する. 我々は, 音圧, 基本周波数, 発声時呼気流率の同時測定を行い, これらを2次元, あるいは3次元的に表示することにより,...
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Veröffentlicht in: | 喉頭 1989/12/01, Vol.1(2), pp.132-134 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「1. はじめに」発声機能の空気力学的検査として, 発声時呼気流率, 発声能率(AC/DC), 発声効率などが臨床に応用されている. しかし, これらの検査は, 喉頭調節が一定であることが前提となる. 一般に行われている発声時呼気流率の測定では“無関位”という一定の喉頭調節での発声法で検査を行うか, あるいは高さ, 強さを指定しているわけであるが, その場合でも個人差は勿論のこと, 個体内での測定値のバラツキもかなりあり, 治療前後の比較が困難な症例にしばしば遭遇する. 我々は, 音圧, 基本周波数, 発声時呼気流率の同時測定を行い, これらを2次元, あるいは3次元的に表示することにより, 一定の音圧または基本周波数で発声する場合でも, 使用される呼気流率は一定ではなく, 非常に大きな幅を持っていることを報告した1). このことは, 現在一般に行われている無関位発声での空気力学的検査値は, かなり極端な値でないと異常と判定できないことを意味する. つまり, 発声時呼気流率, 発声能率, 発声効率などは正常範囲が広く音声障害者の検出率が低いと言えよう. 発声時最小呼気流率(minMFR)とは, ある高さ, またはある大きさの声を発声する時に要する最小の呼気流率である. 本論文では, 発声機能を評価する新しいパラメータとして発声時最小呼気流率を提唱し, その正常値を示して音声機能検査法としての可能性を探った. |
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ISSN: | 0915-6127 2185-4696 |
DOI: | 10.5426/larynx1989.1.2_132 |