硫化水素中毒 : 死亡確認後に周囲の硫化水素濃度が再上昇した1例
「抄録」現場で除染し周囲の硫化水素濃度が0ppmであることを確認していたにも関わらず, 病院搬送・死亡確認後に遺体周囲の硫化水素濃度が再上昇した硫化水素中毒の1例を経験した. 症例は30歳台, 男性. 入浴剤などを混ぜて硫化水素を発生させ, 車内で心肺停止状態であるところを発見された. 現場で乾的除染ならびに水除染が行われ, フル機能ガス検知器で周囲の硫化水素濃度が0ppmであることを確認された. 二次被害の恐れがあったため, 心肺蘇生処置は行われずに病院へ搬送された. 病院では屋外のテントでレベルC防護服を着用したスタッフが対応した. 患者に生体反応はなくすでに死後変化が表れており, 搬送後...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 相澤病院医学雑誌 2019-07, Vol.17, p.53-56 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 「抄録」現場で除染し周囲の硫化水素濃度が0ppmであることを確認していたにも関わらず, 病院搬送・死亡確認後に遺体周囲の硫化水素濃度が再上昇した硫化水素中毒の1例を経験した. 症例は30歳台, 男性. 入浴剤などを混ぜて硫化水素を発生させ, 車内で心肺停止状態であるところを発見された. 現場で乾的除染ならびに水除染が行われ, フル機能ガス検知器で周囲の硫化水素濃度が0ppmであることを確認された. 二次被害の恐れがあったため, 心肺蘇生処置は行われずに病院へ搬送された. 病院では屋外のテントでレベルC防護服を着用したスタッフが対応した. 患者に生体反応はなくすでに死後変化が表れており, 搬送後間もなく死亡確認された. 現場ですでに除染が行われ, フル機能ガス検知器でも安全が確認されていたが, 防護服を外すと遺体の周囲からうっすらと腐卵臭がしていたため, 遺体の収容や搬送時の安全性を確認する目的で消防局に再検査を依頼した. 測定器で遺体周囲の硫化水素濃度は0ppmであったが, 口唇をわずかにあけただけで口周囲の濃度が10ppmまで濃度が上昇した. 警察への遺体搬送にあたり, 遺体に袋をかぶせることで二次被害の防止を行った. 本症例のように自発呼吸がなく人工換気や胃洗浄などを行っていなくても周囲に硫化水素が遊離する可能性がある. そのため遺体搬送時にも二次被害が起こらないような対策が必要である. |
---|---|
ISSN: | 1882-0565 |