重篤な意識障害とけいれんを呈したが, ほぼ後遺症なく自宅退院となったテングタケ中毒の1例
「抄録」症例は60歳台女性. 8月某日9時頃, 庭に生えているキノコを摂食し, 12時頃に倒れているところを母親に発見された. 嘔吐の痕とけいれんが見られ, 救急要請となった. 救急隊接触時は意識障害を認め, ドクターカーが出動した. 接触時に舌根沈下がみられ, 経鼻エアウェイを挿入した. けいれん様の動きに対してジアゼパムを静注し, 消失した. 当院到着時, チェーンストークス呼吸を認めた. 髄液検査, 頭部CT・MRI, 胸腹部CTでは異常を認めなかった. 心エコー検査では心尖部の収縮不良を認めたが, 心電図はほぼ正常だった. 脳波検査ではburst suppressionを認めた. 母親...
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Veröffentlicht in: | 相澤病院医学雑誌 2016-07, Vol.14, p.73-75 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「抄録」症例は60歳台女性. 8月某日9時頃, 庭に生えているキノコを摂食し, 12時頃に倒れているところを母親に発見された. 嘔吐の痕とけいれんが見られ, 救急要請となった. 救急隊接触時は意識障害を認め, ドクターカーが出動した. 接触時に舌根沈下がみられ, 経鼻エアウェイを挿入した. けいれん様の動きに対してジアゼパムを静注し, 消失した. 当院到着時, チェーンストークス呼吸を認めた. 髄液検査, 頭部CT・MRI, 胸腹部CTでは異常を認めなかった. 心エコー検査では心尖部の収縮不良を認めたが, 心電図はほぼ正常だった. 脳波検査ではburst suppressionを認めた. 母親の証言と庭のキノコからテングダケ中毒が疑われ, 治療目的に入院となった. 第2病日には会話可能なレベルまで意識障害は改善したが, 多弁と見当識障害を認めた. 心電図では徐脈と陰性T波が出現した. 意識状態が悪く精査困難であり, 心エコー検査では壁運動は改善傾向のため, 経過観察とした. 徐脈は中毒に伴うムスカリン作用の可能性を疑った. 脳波検査ではburst suppressionは消失し, ほぼ正常所見であった. 第3病日には傾眠となった. それ以後は傾眠と倦怠感はあるものの, 意識障害は徐々に改善した. 一過性に徐脈や著明な発汗, めまいの症状が出現した. 第7病日の心エコー検査では左室の収縮はほぼ正常レベルまで改善を認めた. 経過中肝腎機能障害は認めなかった. 第10病日に自宅退院となった. |
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ISSN: | 1882-0565 |