新潟市における補聴器試聴例の購入・返却にかかわる要因の検討
新潟県では2023年7月に全国に先駆けて県下全市町村で成人補聴器購入費助成制度が始まった. 本研究では, 補聴器試聴の実態を把握するため, 新潟市における補聴器試聴例の購入・返却に関連する因子を検討した. 対象は, 新潟市の耳鼻咽喉科医療機関から市内の認定補聴器専門店に試聴指示が出された成人の初回補聴器試聴例276例とした. 全体の補聴器購入率は83.3%であった. 補聴器購入・返却に関連する因子として, 補聴器の試聴期間のみが統計学的な有意差を認め, ROC 解析にて試聴期間が16.5日以上の症例は購入に至る例が多いことが示された. 短期間の試聴は補聴器返却に至る可能性があり, 耳鼻咽喉科医...
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Veröffentlicht in: | 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 2024/09/20, Vol.127(9), pp.982-986 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 新潟県では2023年7月に全国に先駆けて県下全市町村で成人補聴器購入費助成制度が始まった. 本研究では, 補聴器試聴の実態を把握するため, 新潟市における補聴器試聴例の購入・返却に関連する因子を検討した. 対象は, 新潟市の耳鼻咽喉科医療機関から市内の認定補聴器専門店に試聴指示が出された成人の初回補聴器試聴例276例とした. 全体の補聴器購入率は83.3%であった. 補聴器購入・返却に関連する因子として, 補聴器の試聴期間のみが統計学的な有意差を認め, ROC 解析にて試聴期間が16.5日以上の症例は購入に至る例が多いことが示された. 短期間の試聴は補聴器返却に至る可能性があり, 耳鼻咽喉科医が長期間の試聴の有用性を説明することが重要であると考えられた. ただし, 試聴期間以外の要因から返却が適切である場合もあり, 十分な適応検討を行うことが望ましい. また, 新潟市の助成制度の対象年齢は50~74歳に限定されているが, 本検討における試聴例の年齢分布は70歳以上が多く, 新潟市の助成制度の対象となる50~74歳は25%に過ぎなかった. 助成制度の有効活用には, 補聴器を必要とする年齢層に関する行政の再評価が必要であると考えられた. |
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ISSN: | 2436-5793 2436-5866 |
DOI: | 10.3950/jibiinkotokeibu.127.9_982 |