ESS を要した歯性上顎洞炎の臨床因子の検討

歯性上顎洞炎の治療方針は確立されていないが, 当院では歯科治療や低用量マクロライド療法で改善しない症例に内視鏡下鼻副鼻腔手術 (Endscopic Sinus Surgery: ESS) を施行している. 今回われわれは, ESS を必要とした歯性上顎洞炎の臨床因子の検討を行った. 当院で歯性上顎洞炎と診断した109例を対象とした. 副鼻腔 CT で, ① 上顎洞陰影あり, ② 上顎歯に根尖病巣ありの2つを満たすものを歯性上顎洞炎と診断した. 歯科治療あるいは低用量マクロライド療法で治療を終了できた ESS 不要群 (51例) と, 追加治療として ESS を施行した ESS 施行群 (58例...

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Veröffentlicht in:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 2023/09/20, Vol.126(9), pp.1047-1051
Hauptverfasser: 福井, 健太, 畠山, 博充, 市川, 輝人, 二宮, 啓彰, 大氣, 大和, 松本, 悠, 桑原, 達, 廣田, 誠, 折舘, 伸彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:歯性上顎洞炎の治療方針は確立されていないが, 当院では歯科治療や低用量マクロライド療法で改善しない症例に内視鏡下鼻副鼻腔手術 (Endscopic Sinus Surgery: ESS) を施行している. 今回われわれは, ESS を必要とした歯性上顎洞炎の臨床因子の検討を行った. 当院で歯性上顎洞炎と診断した109例を対象とした. 副鼻腔 CT で, ① 上顎洞陰影あり, ② 上顎歯に根尖病巣ありの2つを満たすものを歯性上顎洞炎と診断した. 歯科治療あるいは低用量マクロライド療法で治療を終了できた ESS 不要群 (51例) と, 追加治療として ESS を施行した ESS 施行群 (58例) の2群に分類した. 両群間で性別, 年齢, 喘息歴, 喫煙歴, 鼻症状, 歯痛, 低用量マクロライド療法の有無, 歯科治療の種類, 原因歯の位置, 上顎洞底穿破, 患側への鼻中隔彎曲, Lund-Mackay スコア (LM スコア) を比較した. LM スコアが高いことが ESS 施行群の有意なリスク因子であった. また, 歯痛を有するものは ESS 不要群で多く, 鼻症状を有するものは ESS 施行群で多い傾向にあった. LMスコア4点以上では74%で ESS を要し, 3点以下では96.9%で ESS が不要であった. 鼻症状, 歯痛の有無と LM スコアが ESS の必要性に深くかかわっていた. 歯科と連携を測り, 歯性上顎洞炎を的確に評価し, 治療を計画することが重要である.
ISSN:2436-5793
2436-5866
DOI:10.3950/jibiinkotokeibu.126.9_1047